財政破綻した北海道の寂れてしまった元炭鉱の町・苫沢町。そこにある理髪店の店主が主人公。家業を継ぐと帰って来る息子の将来のこと。年老いた親のこと。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。心配性の理髪店の店主向田康彦の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。次々起こるから騒ぎ。
過疎の町は、一歩入れば案外にぎやかで可笑しくて身にしみて心がほぐれるドラマがいっぱい。都会と真逆の濃密な関係の中で生きる人間模様を描いていて温かみのあるとぼけた世界が心地好い。少子高齢化や地方の過疎化の問題、農家の嫁不足等2013年から3年間掛って書かれた連作集続編が期待できそうな出来で面白かった。
2016年4月光文社刊
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます