深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

アメリカのあり方を問う

2005-10-17 08:45:16 | Weblog
アメリカでは、ハリケーン「カトリーナ」の被害に対するイギリスからの支援物資の食料33万食分が、SBE発生により輸入禁止にしているイギリス産牛肉が使われていることを理由に被災者に配布せず、倉庫に眠ったままになっているという。アメリカ国務省の高官は「食料支援が必要な他国の援助に回す」意向のようだ。

これは16日の上毛新聞に、ワシントン発共同として載っていたものだが、アメリカの、自国に対する過敏さと、他国に対する鈍感さを、まざまざと見せつけられた記事だった。

他国に回してもいい安全な食品だというのなら、なぜ自国で使わないのか? 支援物資といえどもBSEの危険性があるから配布しない、というのなら、なぜ他国に送るのか? いや、なぜ他国に送ることができるのか? それはつまり、アメリカ国民はたとえ災害被災者であってもBSEにはさせないが、他国の被災者ならBSEになってもかまわない、と言っているに等しい。

いや、そもそもアメリカは、BSEが発生した国からの牛肉の輸入を未だに認めていないにも関わらず、自国でBSEが見つかっても、「アメリカ産牛肉は安全なのだから輸入しろ」と圧力をかけている。日本の食品安全委員会は、ついにアメリカ産牛肉の輸入再開を認めたが、その安全性には疑問を残したままだ。

アメリカのやることは、例え道理にかなっていなくても正しい。アメリカのやることに反対を唱えるものは、秩序の乱す敵だ。圧倒的な経済力と軍事力を背景にしたダブル・スタンダード--それが世界一の超大国、アメリカの姿だ。アメリカは他者に力を見せつけることで、自らの力を確認する。あるいは、他者に力を見せつけることでしか、自らの力を確認できない、と言ってもいいだろう。

思えば、9/11のテロの後、アメリカ人が自問自答した時期があった。「なぜアメリカは世界からこれほど嫌われているのか?」…あの時が大きな分岐点だったのだと思う。もし、あのテロの後、アメリカがアフガンへの報復戦争を始めなかったら…あの問いにもっと真剣に答えを出そうとしていたら…アメリカは、世界は、もっと変わっていた。

戦争がなければ、タリバンはまだアフガンを支配し、女たちは教育の機会を奪われブルカを強要されていたかもしれない。フセインの独裁制は続き、クルド人は再び化学兵器が使われることに怯えていたかもしれない。戦争は確かにそれらを大きく変えた。負の面ばかりではない。しかし、戦争によって私たちが手にしたものは、混乱で泥沼化した彼(か)の地と、世界中に拡散したテロの恐怖だった。

戦争はもちろんアメリカの勝利に終わった--かに見える。しかし、何も終わっていないことは、アフガンでもイラクでも、戦争勝利宣言の後も米軍兵士の「戦死」が続いていることが如実に物語っている。

ではアメリカは今後どうなるのか…そんなことは私にはわからない。ただ、「どうなってほしいか」なら言える。このままイラクの泥沼に足を取られて、じわじわと国力を消耗し疲弊してほしい。頼るべき「力」、見せつけるべき「力」を削がれない限り、アメリカと世界との関係は変わらないと思うから。
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