深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

テクスチャー・セラピー、その後7

2011-06-14 10:49:31 | 症例から考える

最近はエッセンシャルオイルの方がマイブームで、以前より使うことの少なくなったテクスチャー・セラピーだが、たまに使うと興味深いケースが次々に出てきて、やっぱり面白いなーと改めて思ったので、今回はそれにいて書こうと思う。

そしてそのBGMには、魔法の本が登場するピーター・グリーナウェイ監督の映画『プロスペローの本』のテーマ、マイケル・ナイマン作曲による「Prospero's Magic」が最もふさわしいだろう。

ちなみにテクスチャー・セラピー(texture therapy)とは私が勝手に名付けた療法で、テキスト(文書)、図版(護符など)、写真、あるいはそうしたものの総体としての本などのtexture(特性、特徴、肌合い)を治療ツールのように使って、体の状態をよい方向に向けて変えていく手法である。

さて、キリスト教徒でもある患者への治療での話。

主訴の一つが左鼠径部の痛み。調べてみると左の大腿直筋がUF(Under Facilitation ; 促通低下)していること、そしてそれを取るには左の足三里穴、陰陵泉穴を使えばいいことがわかった。問題はその2穴に何をするかだが、これも調べていくとムック本『週刊 世界の美術館』シリーズの中の「ウフィツィ美術館(2)とサンマルコ美術館」の号が使えることがわかった。そして更に、その中のどこが使えるのかを調べて、フラ・アンジェリコの「最後の審判」の中の一部、地獄を描いた部分をテープに波動転写して上の2穴に貼り、それによって左大腿直筋が正常な状態に戻った。

で、キリスト教徒の患者に対して使った部分が部分だったので、二人でそれをネタにちょっと盛り上がったのだった。


…と、それだけならテクスチャーセラピーを使ったごくありふれた治療であって、それ自体は面白くも何ともないが、それに続いて別の問題で更に体を調べていると、今度は右の足三里穴、陰陵泉穴に反応が出ていることがわかった。その時、ほんの思いつきというか悪戯心で、今度はそこに同じ「最後の審判」の天国の部分が使えるのではないかとやってみたら、これがドンピシャリ。さっそくそれを波動転写したテープをその2穴に貼ったのであった。

単なる偶然かもしれない。しかし一枚の絵、しかも「最後の審判」の天国と地獄を描いた部分をそれぞれ右と左の同じ部分に貼ることになるとは。しかも、その患者曰く、聖書では天国は神の右側、地獄は左側にあることになっているのだとか。テープもまさにそのように貼っていた。実に不可思議な偶然の一致──。

テクスチャー・セラピーには、こうした不可思議な一致がよく見られる。例えば仏像の写真を転写する場合、転写する部分は患者が症状を訴えている部分や、その症状の原因となっている部分であることが多い。そうかと思えば、反応があるのは写真も文章もない空白の部分であることも。それが一体何を意味しているのか私にはわからない。私はただ必要な箇所に必要な手を施すだけだ。

6/12のCBSセミナーでは、実技の時間、たまたま松原先生が出してきていた本があったので、それを使って治療して遊んでいたらウケてしまったのだが、ここで書いておかなければならないことがある。それは私もしばらく勘違いしていたことだ。

本を使ってテクスチャ・セラピーを行う(あるいはテクスチャー・セラピー的に本を使う)場合、その本(あるいは、その中のあるページ)に何が書かれているか(つまり文字列によって明示的に表現されている事柄)に意味があるのではない。文字列の印刷されていない余白、それどころか小口や天、地にセラピー上の意味があることもある。

これは呪法セラピーにも共通して言えることだが、「人間が認識できる意味の範囲」などたかが知れている──そのことを何よりまず理解していなければならない。一見「意味がない」ように見える部分も「『意味がない』という意味」を持っている(哲学的やね~)。つまり、テクスチャー・セラピーのポテンシャルを引き出すためには、それを使う人が狭い認識でとらえられる「意味」から離れられなければならないのだ。

半分手前味噌で恐縮だが、テクスチャー・セラピーという名前の通り、重要なのはtextではなくtexture。もちろんテクスチャー・セラピーという名前には、そういうことも込められている。


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