つい先日、Apple社の総帥、スティーヴ・ジョブズが亡くなった。そのニュースが流れた頃、偶然にもネットの一部で話題になっているという、ジョブズ・ネタを知った。
それは、こんな話だ。アニメ『カイジ破戒録篇』のOP、「Chase the light !」でも聞きながらどうぞ(ちなみに、この曲、前半はとてもいいんだけど、後半になるといきなりダメダメになってしまう「残念な曲」なので、リンク先もOPに使われた前半部分だけのものを選んだ。FULLが聴きたい人は、適当に探して聴いてくだされ)。
記事が長いので、一応内容をザックリ要約すると…
著者が買ったiMacが液晶画面に黄ばみがあるという難アリ商品で、Appleに部品の交換を依頼したが、部品交換されて帰ってきたはずのiMacも同じような難アリ。
で、クレーム→部品交換、を繰り返すうちにApple側の対応もどんどん悪くなり、「たとえ問題があろうと交換はこれで最後」と最後通牒を突きつけられた上、帰ってきたiMacはやっぱり難アリのままだった。
ところがネットで見つけたスティーブ・ジョブズのメルアドに事の次第を書いて出したらAppleの対応が一変。すぐにiMacを新品に交換してもらい、問題は一気に片付いたとさ。
こんな1ユーザからのメールにも応じてくれるなんてジョブズの対応は神だ。自分はジョブズとAppleの厚意を忘れず、これからもAppleの製品を使い続ける。
…といった内容なんだけど、読んでみて何だかホントかいな?と思ってしまった。あまりにも話ができすぎてるような気がして。
それに何より、百歩譲ってこれが100%真実だとしても、この話から分かるのは、どう見ても「ジョブズの対応が神」なのではなく、Appleの現場がひどすぎる、というだけのことじゃないか。何度も部品交換しながら、その都度、同じような問題アリの状態でユーザに送り返すなんて、どう考えてもマトモな会社のやることじゃない(私も以前、電機メーカに勤めてたことがあるけど、もしそこでこんなユーザ対応をやってたことがバレたら、間違いなく処分の対象だ)。
でも、そんなムチャクチャナなはずの話が「1ユーザのメールで、あのジョブズが!」という感動の話にすり替わっちゃうのだね。そして、そのうち「これが真の経営者たるものの姿勢だ」とかいう余計なものまでくっついていくんだろう。
まぁ私にはこの話の真偽は分からないし、私はiMacもiPodもiPhoneも持ってない、Appleとはほとんど縁のない人間だけど、ジョブズが死んで神格化されつつある今、Appleには少なくとも「あのジョブズが作った」と言われて恥じないくらいの「いい会社」でいてほしいと思う。
ジョブズがスタンフォード大学で講演した時の有名な言葉が
stay hungry, stay foolish.
だけど、少なくとも彼はマトモにユーザ対応できない社員に「バカのままでいい」とは言っていないと思うのだ。
世間一般で生前は誰も見向きしなくても
死んだ直後は聖人君主に祭り上げられるのと似たようなもんかもしれません
5年後を見れば神か普通の経営者かはっきりすると思いますが・・・
ジョッブズの場合は生前から評価が高かったですが、死んでからはメルマガやら何やらで「ジョッブズに学ぼう」的な記事をやたらと見かけます。
もちろんジョッブズは優れたイノベーターであったし、彼から学ぶべきことはたくさんあると思いますが、あまり神格化するのも気持ち悪いですね。
彼はある意味、「神」だったかもしれないけれど、決して万能の「神」ではなかったわけで、本当は彼から学ぶべきじゃないものもたくさんあると思うのです。