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『ログ・ホライズン』第2シリーズ第10話

2014-12-11 22:01:44 | 趣味人的レビュー

9月から始まったアニメ『ログ・ホライズン』第2シーズン。『ログホラ』は第1シーズンから見ているが、この間放送された第10話「ギルドマスター」は、秀作揃いのシリーズ全話を通じても白眉と言える神回だった。

ほぼ全編がウィリアム=マサチューセッツの一人語りで進む第10話は、本編の物語の流れと独立して見られるので、ここでそれを紹介したい。それでもウィリアムの語る言葉を理解するには、『ログホラ』という物語のアウトラインを知っておかなければならない。

なお、どうしても『ログホラ』第1シーズンのネタバレを含んでしまうので、ここから先を読み進むに当たっては、ご注意されたい。


『ログ・ホライズン』は橙乃ままれが『まおゆう魔王勇者』に続いて発表した作品で、物語の舞台は世界規模に構築されたMMO-RPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)「エルダー・テイル」の中。ある日突然、その時間にエルダー・テイルでプレイしていた世界中のプレイヤーが、ゲームである「エルダー・テイル」の世界に飲み込まれてしまった(これを「大災害」と言う)。『ログホラ』は、そんな世界で生きることを余儀なくされた人々の物語だ。


…と、ここまで読んでケッとか思わないように。私などゲームのことは全くわからないから『ログホラ』にも全く期待していなかった。『ログホラ』を見ていたのは、前にその時間にやっていた『バクマン。』を見ていたからで、最初の頃は「ながら」でしか見てなかったし、本当は最初の何回かを見て切るつもりだったのだ。


エルダー・テイルではゲーム・プレイヤーのアバターを冒険者、そして最初からゲームの中にいるノン・プレイヤー・キャラを大地人と呼ぶ。プレイヤーは様々な特殊能力や魔法を使ってモンスターと戦い、勝つとそのモンスターのグレードに合わせておカネやアイテムが手に入る。また、死んでも大神殿で復活することができる。

そんなゲームとしての「エルダー・テイル」の中に閉じ込められたプレイヤー(冒険者)たちは、基本的にゲームそのままの世界を生きていくことになる。だから冒険者は不死なのだ(それはつまり、「エルダー・テイル」の世界からは抜けられない、ということでもある)が、死ぬと復活する間に元の世界にいた頃のイケてないダメダメな自分と出会い、そして元の世界の記憶を少しずつ失っていく。

『ログホラ』の主人公シロエは、元の世界ではネトゲ廃人で引きこもりの大学生。だがエルダー・テイルはベータ版が公開された時からの古参プレーヤーで、かつてはギルドに所属せずソロでやっているハイレベルなプレーヤーが集まって難関クエストを次々に攻略した伝説のパーティ「放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティ)」の参謀を務め、「腹黒メガネ」の異名を持つ。

ゲーム時代のエルダー・テイルでは、ギルドに入らずソロでプレイすることをかたくなに通してきたシロエだったが、いきなり異世界に放り込まれてみんなが混乱し、アキバの街がすさんでいくことに心を痛め、自らのギルド「記録の地平線(ログ・ホライズン)」を立ち上げてアキバを復興させるために動き始める。

シロエはアキバを拠点とする11の大手ギルドのギルマスを集め、自分のログ・ホライズンを含めた12のギルドでアキバの自治を担う円卓会議を設立することを提案する(この時、11ギルドの1つ「シルバー・ソード」を率いるウィリアム=マサチューセッツは、これを拒絶して席を立った)。

だが冒険者は基本的に自由で、(かつてのシロエがそうであったように)ギルドに所属する義務もなく、みんな不死なので死は抑止力にならないから、どこかの誰かが別の誰かを強制的に従わせることもできない。円卓会議設立など無意味ではないか、というギルマスたちに対してシロエが出した奥の手が、ギルド会館を既に自分が買い取った、というものだった。

本来、公共の建物であるギルド会館には、死んだ冒険者が甦る場所である神殿も含まれている。だが、シロエはこの会議の前に莫大な富を蓄えてそれを買い取り、彼個人の所有にしてしまった。そして設定を自由に変えられるようになったシロエは、自分(と円卓会議)の意向に従わない個人、ギルドはギルド会館を使えないようにしてアキバから追放する、という強硬手段に出ることで、円卓会議をアキバの事実上の自治機関とすることに成功するのである(この辺りは実に「腹黒メガネ」の面目躍如だ)。

その後、シロエと円卓会議はエルダー・テイルではヤマトと呼ばれる日本列島の、自由都市同盟イースタル(現実の世界では北海道を除く東日本一帯)の貴族との政治交渉、突然現れたモンスターの大群との戦いなどを経て、シロエと神聖皇国ウェストランデ(現実の世界では四国と九州を除く西日本一帯)を影から動かし「西の納言」とも呼ばれる濡羽(ぬれは)との邂逅で第1シリーズは終わる。


このように第1シリーズでアキバのギルド会館を買い取った円卓会議だが、所有権を維持するためには買い取った時以上の莫大なカネがかかる。エルダー・テイルではカネはモンスターを倒すことによって得るが、そんなことで得られる金額ではギルド会館を所有し続けることは極めて難しい。そしてギルド会館の所有権を失うことは円卓会議の根幹を揺るがすことにつながる。

シロエは、エルダー・テイルの世界で黄金を管理している供贄(くにえ)一族の現当主、菫星(きんじょう)と直談判して融資を取り付けようとするが、菫星からは「前例がない」と一蹴されてしまう。そこでシロエは供贄一族の黄金を直接奪取するため、アキバを離れてエッゾ帝国(現実の世界では北海道)の中心都市ススキノに拠点を移した「シルバー・ソード」のウィリアムに協力を依頼し、「パルムの深き場所」の最下層でのレイド(通常24人で行う大規模戦闘)に挑む。

そして苦しみながらも困難レイドを戦い、駒を進めてきたシロエたちだったが、突然レイドゾーンに3体のレイドボスが現れ(ゲームだった頃のエルダー・テイルでは、レイドゾーンにレイドボスは1体のみという仕様になっていた)、チームは全滅してしまう。


第9話「変わりゆく戦場」では、レイドのさなかにシロエが死に、そして復活するまでが描かれた。そして第10話では大敗したウィリアムが再び立ち上がるまでが描かれる。

下にはその第10話のOPとEDを除く本編丸々(約21分)を貼り付けた。かつて何かを志し、果たせないまま挫折したことのある人、今、祈るように何かに賭けようとしている人、心が折れそうになりながら何かと戦っている人──そんな人には響くものがあると思う。

さあ見るべし。消されないうちに。


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