以前、「人体に位相を導入する」という記事をアップしたが、この記事は事実上それの続き、ということになるだろうか。実は、以下に述べることは前の記事に書いたことからすぐに導かれるようなことなのだ。が、それに当の本人がつい最近まで全く気づいていなかった。
気づいてしまえば「え、何でそんなこと今まで気づかなかった?」と思うようなことだが、「何かに気づく」というのは得てしてそういうものなのかもしれない。
で、今回気づいたことというのは、
「クラニオセイクラル・ワークで相手の情報を受け取るフィールド(空間)の位相をいろいろ変えていったら、それまで捉えられなかったものが捉えられられるんじゃね?」
ということだ。そして結論を言えば、実際その通りだった、というわけ。
そういうわけで、ここまででこの記事の核心部分は述べてしまった(笑)。以下は、その単なる補足なので、「そんなの要らないや」という人はもう読む必要なし。
では補足。
(コレも何度も繰り返し書いてきたことだから「もうたくさん!」と思っている人もいるとは思うが)クラニオには大きく分けて、バイオメカニカルなクラニオとバイオダイナミックなクラニオがある。
「頭蓋骨の動きを追い、その異常を探り出して調整する」ことを主眼にするバイオメカニカルなクラニオなら、その情報(この場合、要するに3次元的な動き)を受け取る空間は3次元のユークリッド空間(もう少し正確に言えば、通常の3次元のユークリッド空間としての位相を持った空間)であることに多少の必然性はあるかもしれない。けれども、相手から情報(もちろん、それは「動き」とは限らない)が来るのをただ待って、それを受け取るというバイオダイナミックなクラニオでは、情報を受け取る空間の構造は「別に何でもいい」のである。
ここで「人体に位相を導入する」に述べたことの繰り返しになるが、「空間の位相を変える」というのは「空間の次元を増やす」こととは何の関係もないのでご注意。
「情報を受け取る空間の次元を増やす」というのはマトモな治療家なら誰しも(人によっては無意識的に)やっていることだ。なぜなら「次元を増やす」というのは単に「相手の状態を判断するためのパラメータを増やす(もっと厳密には、一次独立なパラメータを増やす、ということだが)」ということだから。だから背骨や骨盤の歪みといった構造的な部分だけでなく、生活環境、心理・感情、遺伝的な要因、とパラメータを増やせば、これだけでもう4次元だ(「これらは果たして一次独立といえるのか?」と突っ込まれると、ちと苦しいが)。
…という上の文を見て、「それはおかしい。4次元というのは縦、横、高さに時間が加わったもののはずだ!」などと、あなたがもし思ったとしたら、残念ながらあなたには次元というものが全くわかっていない。とはいえ、私もそういうあなたに次元の概念を理解してもらえるような説明ができるか、といえばそれも難しいので、この件についてはこれ以上深追いはしない。ただ「次元と位相とは全く異なるものだ」ということだけ述べておく。
次元の話ばかりしてしまったが、では位相とは何か?
位相とはつながり具合や位置関係といった、空間のある種の幾何学的状態(あるいは空間構造)を表す数学の用語である。つまり(全然正確なものではなく、あくまでわかりやすさを優先しただけの例え話として述べれば)位相を変えるというのは、物体の表面だけでなく裏面まで見えるように空間構造の捉え方を変える、ということだ。そのように位相を変えることによって、単一の空間が位相空間として全く別物になる。すると、それまで捉えられなかったものが捉えられてくるのである。
そう考えれば、「クラニオで相手の情報を受け取る空間の位相をいろいろ変えていく」ことの有用性がちょっとはわかってもらえるのではないかと思う。
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