公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
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初期研修終了と再出発

2019年03月29日 | 日記
研修医の鈴木です。
本日をもって2年間の初期研修が終了しました。私は地元相馬の出身として当院で初期研修をさせて頂くことができて全ての関係者の皆様に心から感謝しています。そして2年間、ブログを見て応援して下さった皆様にも感謝しています。どうもありがとうございました。

私が医師になりたいと考えたのは幼少期に肺炎で当院に入院した時に自分の辛い症状を治してくれた医師の姿に憧れを抱き、自分もいつか人の痛みや辛さを理解して一つでも多くの命を守れる人間になりたいと思ったことが最初のきっかけでした。それから小学、中学時代に必死に勉学に励み、地元の進学校である相馬高校に進みました。高校時代に相馬地区の医療事情を見つめた時に全体的に医療従事者が少なく、高齢化しており医療資源が非常に乏しく厳しい環境であることを学びました。自分が医師となって少しでも地元の医療に貢献したいと改めて考えるようになり、福島県立医科大学への進学を決意しました。
私はそれほど裕福な家庭というわけではなく、ごく普通の一般家庭で生まれ育ちましたが、医学部は学費が高くなる(ご存知の通り私大医学部はかなり高いです)ので、あまり費用のことで家族にあまり負担もかけずに医学部に進学したいと考えていました。福島県は、福島医大に入学する学生に福島県内の公的医療機関に数年間従事することを条件に借りられる奨学金制度(福島県緊急医師確保修学資金)があります。それを利用して6年間大学で過ごして医師となり福島県に残って頑張りたいと考えていたので、福島県立医科大学入学に向けて受験勉強を行いました。滑り止めの大学受験は一切受けず、福島県立医科大学だけに絞り、費用がかさむ予備校や塾も利用せずに勉強をコツコツ続けて震災の年に何とか推薦入試で合格しました。その後ほどなくして津波で家を失うことになりましたが…

あれから6年、大学で様々な人と出会い、切磋琢磨しながら充実した大学生活を送り医師国家試験に合格しました。そして初期臨床研修病院として歴史は浅く、知名度も低い当院ではありますが、地元の相馬で地域医療を肌で感じつつ、自分に何かできることがあればやらせて頂きたいと思い、2年前の春に初期臨床研修医として着任致しました。当初は右も左も分からず、採血もろくにできない(要するに何の役にも立たない)状態で自分の無力さを痛感する毎日でしたが、その中で日々成長できるように自分なりに努力してきたつもりです。世間には診療ガイドラインなどというものもありますが、地域性を考慮しながら医療を展開していかなければならないので画一的な医療ではなく、個人に合わせた医療を提供していかなければならない面もあるため、悩むことは多かったです。たくさん悩んだ分だけ医師として少しは成長できたのかもしれません。
4月からは福島医大の小児科で後期研修として再出発します。相馬を離れることになりますが、私の原点は相馬にありいつの日かこの地に戻って小児科医療の一翼を担えるようになれる医師になるために福島で全身全霊で精進します。

ちなみに相馬高校出身で福島医大卒の中では私と阿部先生(4月からも消化器内科で当院にいます)の2人が最も若い世代になります。現在福島医大生で相馬高校出身は1名います。なかなか地元相馬高校出身で医学部に進学するのは厳しい状況が続いています。先日、4月から相馬高校出身で福島医大進学を考えている学生さんにお話する機会があったのでエールを送ってきました。参考になるかはわかりませんが来年まで1年間頑張って欲しいです。

長々と書きましたが今回でブログを書くのは最後とさせて頂きます。2年間ありがとうございました。
最後に私の故郷の磯部の風景を載せて終わらせて頂きます。


寄木神社