仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「真相」 横山秀夫

2007-03-24 12:14:32 | 讀書録(ミステリ)
「真相」 横山秀夫
お薦め度:☆☆☆+α /
2007年3月2日讀了


2003年に刊行された、横山秀夫の6作目の短篇集。
5作品が收録されてゐる。
いづれの作品も、ある出來事の裏に隱れてゐる「眞實」を描くことで共通してゐる。


「眞相」
10年前に息子を殺された事件の犯人が逮捕された。
そして、犯人の供述から明らかになつた息子の知られざる「顏」。

「18番ホール」
村長選に出馬した主人公の眞の動機は何か。
樂勝の筈だつた選擧戰が苦しい戰ひとなつてゆくとともに、主人公の過去が明かされてゆく。

「不眠」
リストラされた45歳の主人公のアルバイトは製藥會社の治驗藥の被驗者である。
その所爲で不眠症になつた主人公が眞夜中の散歩で目撃したのは・・・

「花輪の海」
「あなたにとつて、これまで一番嬉しかつたことは何ですか」
再就職の面接で聞かれた質問は、主人公に「友人が死んだ時」を思ひ出させた。

「他人の家」
前科のあることをインターネットで暴露され、住んでゐるアパートを追ひ出されることになつた夫婦。
彼らを助けてくれたのは、毎朝、贖罪のつもりでゴミ拾ひをしてゐる時に知合つた老人だつた。
老人の薦めで養子となり、老人が亡くなつた後、その老人の家に住むことになつた夫婦だつたが・・・


いづれの作品も讀みごたへのあるものだ。
表題作の「眞相」では、「妻」といふ存在の強さを思ひ知らされた氣がした。
「不眠」では、リストラされた中年のやるせなさを痛感させられた。
「他人の家」では、最後の「眞相」に驚かされたと同時に、この夫婦はこれからどのやうな人生を選擇するのだらうかと思はされた。


2007年3月2日、南紀白濱にて讀了


真相

双葉社

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