仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

読書録 2025年1月中旬

2025-01-21 06:39:00 | 読書録(備忘)
1月13日読了『疫病神』 黒川博行1997年刊行再読。疫病神シリーズの第一作。黒川博行を最初に読んだのは『二度のお別れ』だったか、『八号古墳に消えて』だったか、いづれにせよ創元推理文庫だった。大阪府警ものが面白くて、立て続けに初期作品を読み漁ったものだった。久しぶりに読んだ黒川博行。二蝶会のヤクザ・桑原と建設コンサルタント・二宮との大阪弁の会話が軽妙ながら、中身はハードボイルド。産廃処理施設建設を . . . 本文を読む
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読書録 2025年1月上旬

2025-01-11 05:38:00 | 読書録(備忘)
1月8日読了『地の日 天の海』(上下) 内田康夫2008年刊行初読。内田康夫といえば浅見光彦シリーズをはじめとする推理小説。このような歴史小説を書いているとは知らなかった。若き日の天海(随風)の物語を読むのは初めてのこと。元号で云うと、天文、弘治、永禄、元亀、天正の時代で、信玄、謙信、信長、秀吉、家康の活躍した時代。随風(天海)は、三島の『豊饒の海』における本多繁邦のような存在で、彼の視点から . . . 本文を読む
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読書録 2024年12月中旬・下旬

2024-12-31 17:32:00 | 読書録(備忘)
 12月13日読了『神々の指紋』(上) グラハム・ハンコック12月22日読了『神々の指紋』(下)グラハム・ハンコック1995年刊行日本では、単行本は1996年2月に翔泳社から、文庫版1999年5月に小学館から発行。初読。文庫化された時に梅田の紀伊國屋書店で平積みされていたのを覚えている。かなり話題になったのではなかったか。さて、有史以前の高度な文明は果たして存在していたのか。存在していたと考えると . . . 本文を読む
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読書録 2024年11月下旬

2024-12-01 09:31:00 | 読書録(備忘)
11月25日『未踏峰』(上・下) 森村誠一1989年5月刊行再読。三読?夏の八ヶ岳で出会った男女8人の大学生のその後の6年間を描いた長篇。ヒマラヤを目指す雪吹は、大方の予想通り、ヒマラヤの8,000m峰登頂後に行方を断つ。この作品の真ん中にいるのは、大財閥の馬鹿息子、北上栄二だ。八ヶ岳の8人のうち、一人の女を妻にし、一人の女を愛人にする。さらには一人の女の姉を殺した疑いと一人の男の父を殺した疑 . . . 本文を読む
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読書録 2024年11月上旬

2024-11-11 22:36:00 | 読書録(備忘)
11月4日『山の霊異記 赤いヤッケの男』 安曇潤平2008年2月刊行初読。短篇集。26篇。山に登ると奇妙な出来事に遭遇することがあるらしい。ぼく自身は幸いにして経験したことはないけれど。でも単独行でテント泊の時に、夜遅くテント脇に聞こえる山靴の音が気になったこともあった。テントを持たずに身一つでビヴァーク(不時露営)した時も、遭難する恐怖より怪異現象の方が怖かった。もう山には登れないけど、この . . . 本文を読む
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読書録 2024年10月下旬

2024-11-01 10:58:00 | 読書録(備忘)
10月24日『愚か者死すべし』 原尞2004年11月刊行初読。私立探偵・沢崎シリーズ第四作。この作品は前作『さらば長き眠り』から9年後の2004年に刊行された。著者曰く、この作品が沢崎シリーズの第二シリーズ第一作にあたるそうだ。第二作は2018年刊行の『それまでの明日』。なんと14年も間があいている。この作品で、渡辺探偵事務所の渡辺はすでに亡くなっている。暴力団の組長が銃撃され、その犯人が新宿 . . . 本文を読む
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読書録 2024年10月中旬

2024-10-21 09:48:00 | 読書録(備忘)
10月16日『私が殺した少女』 原尞1989年10月1日刊行再読。1989年下半期第102回直木賞受賞作。デビュー作『そして夜は甦る』に続く、私立探偵・沢崎シリーズ第二作で前作の2年後の設定となっている。少女誘拐事件に巻き込まれた沢崎。誘拐犯の指示で身代金の受け渡し役をすることになるのだが、何者かに邪魔をされ身代金を犯人に渡すことができず、後日、少女の遺体を発見することになってしまう。ストーリ . . . 本文を読む
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読書録 2024年9月下旬

2024-10-01 10:01:00 | 読書録(備忘)
9月30日『長いお別れ』 レイモンド・チャンドラー 清水俊二訳1953年刊行1958年10月初訳刊行初読。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第6作。ハードボイルドの傑作。読了して、推理小説の傑作でもあることを知った。50章の最後のセンテンス。「フランス語にはいい言葉がある。(中略)さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」これ、もちろん普通のさよならぢゃないってことは、 . . . 本文を読む
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読書録 2024年9月中旬

2024-09-21 07:06:00 | 読書録(備忘)
9月16日『そして夜は甦る』 原尞1988年4月刊行再読。1988年の「このミス」2位となった原尞のデビュー作で、私立探偵・沢崎シリーズの第一作。都知事選に関わる怪文書と知事候補銃撃事件の真相が明らかになる。ぼくが歳とって記憶力が衰えてきているせいか、次々に現れる登場人物が覚えきれない。あれ?こいつ何したやつだったっけ?若い頃はトルストイくらいしかこんなことなかったのになあ。    . . . 本文を読む
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読書録 2024年9月上旬

2024-09-10 20:41:00 | 読書録(備忘)
9月1日『毒島刑事最後の事件』 中山七里2020年刊行再読。『作家刑事毒島』の続編。といっても、毒島がまだ刑事だった頃の話。この事件で容疑者を自殺に追い込んで、毒島は警察を辞めることになった。殺人犯に殺人を教唆したのは誰か?9月5日『さらば長き眠り』 原尞1995年1月刊行再読。ハードボイルド。主人公は私立探偵の沢崎。19歳女子の飛び降り自殺は昭和57年夏の甲子園、準々決勝での八百長疑惑に端を . . . 本文を読む
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読書録 2024年8月下旬

2024-09-01 04:41:00 | 読書録(備忘)
8月27日『作家刑事毒島』 中山七里2016年8月発行再読、3読?連作短篇集。『中山七転八倒』を読んで、これをまた読みたくなった。主人公の毒島真理は元捜査一課刑事で現在は作家。その天性の毒舌で容疑者を心理的に追い込んだ挙句に容疑者に自殺されて、その責任を問われて解雇されるも、検挙率警視庁一という刑事としての手腕は捨てがたく、すぐに非常勤として再雇用されたという経歴の持ち主。この毒島が、殺人事件 . . . 本文を読む
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読書録 2024年8月中旬

2024-08-20 20:40:00 | 読書録(備忘)
8月19日読了『中山七転八倒』 中山七里2018年刊行初読。中山七里の日記。2016年1月から2017年5月まで。当初は公開するつもりはなかったらしい。それにしても凄い執筆量だ。なんと3日に一回はなんらかの締め切りがある。当然のようにまともな睡眠時間はとれない。それなのにホームシアターや映画館での映画鑑賞や読書。書店訪問や編集者との打ち合わせもこなす。「中山七里は七人いる」という伝説もむべなる . . . 本文を読む
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読書録 2024年8月上旬

2024-08-11 19:37:00 | 読書録(備忘)
8月3日『鴨川食堂 ごほうび』 柏井壽初読。シリーズ第11巻。前巻で東本願寺の正面通から上賀茂神社付近の御薗橋通に引っ越した鴨川食堂。王将から少し西に入ったところらしい。変わったのは住所だけぢゃなかった。鴨川探偵事務所の所長も鴨川こいしから父の鴨川流に変わっている。なので、探す「食」を依頼人から聴き取るのも流の仕事になったようだ。ただし、依頼人に出す料理は当然のことながら今まで通り流の仕事。第 . . . 本文を読む
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読書録 2024年7月下旬

2024-08-02 10:29:00 | 読書録(備忘)
『明治文学小説大全』 (全50篇)より7月25日『虞美人草』 夏目漱石明治40年(1907年)再読。高校時代に読んで以来。言文一致体だが、地の文は漢語が多く、当時の教養であれば理解も容易いのかもしれないが、ぼくには難し過ぎる。登場人物が読み進めていくうちに増えてゆき、名前や地位、性格などの属性が次第に明らかになってゆくのが面白い。それぞれのキャラクター設定が対照的。男性。甲野は哲学者、宗近は外 . . . 本文を読む
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読書録 2024年7月上旬

2024-07-10 05:34:00 | 読書録(備忘)
『明治文学小説大全』 (全50篇)より7月5日『野分』 夏目漱石明治40年(1907年)初読。残念ながら、漢字も仮名遣も現代表記。主な登場人物は、白井道也、高柳、中野。道也は大学を出てから中学の教師になったが、7年間に3か所、越後、九州地方、中国地方を経て、今は教師を辞めて文筆を生業としている。高柳は道也の越後時代の生徒であったが、大学を卒業したばかりで職にも就けず、食うに困る状態。中野は高柳 . . . 本文を読む
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