2月21日『剣客商売 一』池波正太郎1973年刊行3読?4読目?連作短編集。池波正太郎作品の中で一番好きな作品。初めて読んだのがいつ頃なのか覚えていないが、その後、なぜか熱を出して寝ているたびに読んでいた気がする。ちなみに今回は発熱しているわけではない。秋山小兵衛60歳、おはる20歳、大治郎25歳、佐々木三冬20歳。そうか、いつの間にかおれは小兵衛より年寄になっていたのか… 「まゆ墨の金ちゃん . . . 本文を読む
2月18日『侠客』(上・下) 池波正太郎1979年刊行初読。塚本伊太郎=幡随院長兵衛の物語。江戸時代初期、寛永から明暦にかけての、家光・家綱の頃。父の仇である唐津八万三千石の大名、寺沢兵庫頭を討ち取って、旗本の水野十郎左衛門に匿われた伊太郎は、水野の家来にならぬかとの誘いを断り、町人となって「人いれ宿」を継ぎ、幡随院長兵衛と名告るのだった。長兵衛は、発展する江戸の町を築く人足を差配する頭として . . . 本文を読む
2月2日読了『喧嘩 すてごろ』 黒川博行2016年刊行初読。疫病神シリーズ第6作。大阪府議会議員の補欠選挙に端を発する事件だったが、実は医大を買収して大学の医学部にしようとする企みに国会議員や府会議員が関わる事件だった。もちろん、反社組織が絡んでおり、今回も桑原は腹を刺される。二蝶会を破門された桑原だが、組織の後ろ楯がないにも関わらずイケイケなのだった。2月8日『西の魔女が死んだ』 梨木香歩1 . . . 本文を読む
1月26日読了『破門』 黒川博行2014年刊行初読。疫病神シリーズ第5作。第151回直木賞受賞作。今回は二蝶会若頭の嶋田が映画制作詐欺に引っかかったことに端を発した物語。映画プロデューサー・小清水による詐欺だったが、二蝶会が属する神戸川坂会の本家筋である亥誠組の副本部長・坂本が裏で糸を引いていた。同じ神戸川坂会の枝同士ながら、桑原は嶋田若頭のために亥誠組とコミ合ってしまうのだった。そのため桑原は二 . . . 本文を読む
1月13日読了『疫病神』 黒川博行1997年刊行再読。疫病神シリーズの第一作。黒川博行を最初に読んだのは『二度のお別れ』だったか、『八号古墳に消えて』だったか、いづれにせよ創元推理文庫だった。大阪府警ものが面白くて、立て続けに初期作品を読み漁ったものだった。久しぶりに読んだ黒川博行。二蝶会のヤクザ・桑原と建設コンサルタント・二宮との大阪弁の会話が軽妙ながら、中身はハードボイルド。産廃処理施設建設を . . . 本文を読む
1月8日読了『地の日 天の海』(上下) 内田康夫2008年刊行初読。内田康夫といえば浅見光彦シリーズをはじめとする推理小説。このような歴史小説を書いているとは知らなかった。若き日の天海(随風)の物語を読むのは初めてのこと。元号で云うと、天文、弘治、永禄、元亀、天正の時代で、信玄、謙信、信長、秀吉、家康の活躍した時代。随風(天海)は、三島の『豊饒の海』における本多繁邦のような存在で、彼の視点から . . . 本文を読む
12月13日読了『神々の指紋』(上) グラハム・ハンコック12月22日読了『神々の指紋』(下)グラハム・ハンコック1995年刊行日本では、単行本は1996年2月に翔泳社から、文庫版1999年5月に小学館から発行。初読。文庫化された時に梅田の紀伊國屋書店で平積みされていたのを覚えている。かなり話題になったのではなかったか。さて、有史以前の高度な文明は果たして存在していたのか。存在していたと考えると . . . 本文を読む
11月25日『未踏峰』(上・下) 森村誠一1989年5月刊行再読。三読?夏の八ヶ岳で出会った男女8人の大学生のその後の6年間を描いた長篇。ヒマラヤを目指す雪吹は、大方の予想通り、ヒマラヤの8,000m峰登頂後に行方を断つ。この作品の真ん中にいるのは、大財閥の馬鹿息子、北上栄二だ。八ヶ岳の8人のうち、一人の女を妻にし、一人の女を愛人にする。さらには一人の女の姉を殺した疑いと一人の男の父を殺した疑 . . . 本文を読む
11月4日『山の霊異記 赤いヤッケの男』 安曇潤平2008年2月刊行初読。短篇集。26篇。山に登ると奇妙な出来事に遭遇することがあるらしい。ぼく自身は幸いにして経験したことはないけれど。でも単独行でテント泊の時に、夜遅くテント脇に聞こえる山靴の音が気になったこともあった。テントを持たずに身一つでビヴァーク(不時露営)した時も、遭難する恐怖より怪異現象の方が怖かった。もう山には登れないけど、この . . . 本文を読む
10月24日『愚か者死すべし』 原尞2004年11月刊行初読。私立探偵・沢崎シリーズ第四作。この作品は前作『さらば長き眠り』から9年後の2004年に刊行された。著者曰く、この作品が沢崎シリーズの第二シリーズ第一作にあたるそうだ。第二作は2018年刊行の『それまでの明日』。なんと14年も間があいている。この作品で、渡辺探偵事務所の渡辺はすでに亡くなっている。暴力団の組長が銃撃され、その犯人が新宿 . . . 本文を読む
10月16日『私が殺した少女』 原尞1989年10月1日刊行再読。1989年下半期第102回直木賞受賞作。デビュー作『そして夜は甦る』に続く、私立探偵・沢崎シリーズ第二作で前作の2年後の設定となっている。少女誘拐事件に巻き込まれた沢崎。誘拐犯の指示で身代金の受け渡し役をすることになるのだが、何者かに邪魔をされ身代金を犯人に渡すことができず、後日、少女の遺体を発見することになってしまう。ストーリ . . . 本文を読む
9月30日『長いお別れ』 レイモンド・チャンドラー 清水俊二訳1953年刊行1958年10月初訳刊行初読。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第6作。ハードボイルドの傑作。読了して、推理小説の傑作でもあることを知った。50章の最後のセンテンス。「フランス語にはいい言葉がある。(中略)さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」これ、もちろん普通のさよならぢゃないってことは、 . . . 本文を読む
9月16日『そして夜は甦る』 原尞1988年4月刊行再読。1988年の「このミス」2位となった原尞のデビュー作で、私立探偵・沢崎シリーズの第一作。都知事選に関わる怪文書と知事候補銃撃事件の真相が明らかになる。ぼくが歳とって記憶力が衰えてきているせいか、次々に現れる登場人物が覚えきれない。あれ?こいつ何したやつだったっけ?若い頃はトルストイくらいしかこんなことなかったのになあ。
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9月1日『毒島刑事最後の事件』 中山七里2020年刊行再読。『作家刑事毒島』の続編。といっても、毒島がまだ刑事だった頃の話。この事件で容疑者を自殺に追い込んで、毒島は警察を辞めることになった。殺人犯に殺人を教唆したのは誰か?9月5日『さらば長き眠り』 原尞1995年1月刊行再読。ハードボイルド。主人公は私立探偵の沢崎。19歳女子の飛び降り自殺は昭和57年夏の甲子園、準々決勝での八百長疑惑に端を . . . 本文を読む
8月27日『作家刑事毒島』 中山七里2016年8月発行再読、3読?連作短篇集。『中山七転八倒』を読んで、これをまた読みたくなった。主人公の毒島真理は元捜査一課刑事で現在は作家。その天性の毒舌で容疑者を心理的に追い込んだ挙句に容疑者に自殺されて、その責任を問われて解雇されるも、検挙率警視庁一という刑事としての手腕は捨てがたく、すぐに非常勤として再雇用されたという経歴の持ち主。この毒島が、殺人事件 . . . 本文を読む