仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「化生の海」 内田康夫

2006-04-16 10:58:56 | 讀書録(ミステリ)
「化生の海」 内田康夫

お薦め度:☆☆☆☆+α
2006年4月14日読了


5年前に加賀の海で遺體で發見された男。
北海道の餘市で暮してゐた男が、何故、北陸の海で發見されたのか。
淺見光彦の搜査により、意外な事實が明らかにされる。
北海道、北陸、福岡と日本海沿岸を舞臺に、知られざる歴史のベールが剥がされてゆく時、
そこに哀しい人生が現はれてくる。

このところの内田康夫作品に少しばかり滿たされない思ひを抱いて來たが、この作品は素晴らしいと思つた。
推理小説としてロジックを追ひかけてゆくことに最大の價値を見出す向きには物足りないかも知れない。
しかし、謎を解き明かすこととそこにロマンの香を求める向きには、この作品は面白く讀めると思ふ。

ちなみに、作者もこの作品には自信を持つてゐるやうで、
自作のベスト10を選ぶとしたらこの作品を躊躇なく擧げるだらう、
と書いてゐる。

内田康夫作品では、過去の遠い出來事が原因となつて殺人事件が起こされるケースが多い。
さういふ構成の作品に面白い作品も多いのだが、この作品はその中でも秀逸なものだと思ふ。


2006年4月14日讀了



化生の海

講談社

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