仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「麥の海に沈む果實」 恩田陸

2004-04-04 21:51:17 | 讀書録(ミステリ)
麦の海に沈む果実

講談社

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著者名 恩田陸   発行年(西暦) 2004  
出版者 講談社文庫   値段 600-800円  
お薦め度 :☆☆☆☆


周圍を濕原に圍まれた小高い丘の上に建てられた學園が舞臺となつてゐる。
さういふ意味では、作者得意の「學園ファンタジー」モノといへる。

主人公は、この學園に轉入してきた少女である。
主人公が轉入したのは2月の末日。
此の學園では、3月が入學式となつてゐて、2月に轉入してくることは通常ではありえないこと。
では何故、主人公は2月に轉入してきたのか?
これが大きな謎で、この謎が解き明かされるとき、この物語の全貌が明らかになる。

ちなみに「三月は深き紅の淵を」といふ本が登場するが、これもまた恩田陸の作品にある。
つまり、この「麥の海に沈む果實」と「三月は深き紅の淵を」とは互ひに連關してゐる。

私としては、この作品、途中まではたいへん面白く讀むことができた。
ただ最後にすべての謎が明かされた途端に、面白さが半減してしまつたやうに思ふ。
もう少し、なんとか書きやうがあつたのではないかと惜しまれる。


2004年2月4日讀了

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