【昔の手帳から】 １２月９日 （80年：ジョン・レノンの訃報）

【１９８０年】（１囘生）

イチハラより手紙。
J.Lennon 射殺される！
バイト ￥5600

火曜日。

イチハラは高校山岳部の同期。
３日に手紙を貰ひ、４日に返事を出してゐる。
おそらく、年末年始の蝶ヶ岳山行に關するやりとりだらう。

この日もアパートの大家さんの實家、鞍馬にある 「京・くらま 林」 でバイト。
佃煮をビニールの小袋に詰めて、口を電熱線でパウチする。
その作業場ではいつもラジオがつけられてゐて、 ジョン・レノン がリリースしたばかりのアルバム「ダブル・ファンタジー」が流れてゐた。
このアルバム、ジョンの曲はいいのだが、オノ・ヨーコの曲が流れると、同僚のオバチャンたちが嫌がつた。
「なんや、この女の人の歌、いややわあ。男の人の歌だけにしてくれへんかなあ」

おひる休み、ＴＶを觀ながら、大家さんのお母さんが用意してくれた食事をとるのが日課だつた。
この日、正午のＮＨＫニュースを觀てゐたら、アナウンサーが「昨日の深夜、元ビートルズのジョン・レノンさんが」と話し出した。
私は、この一瞬にジョンの身の上に不吉なことが起こつたのではないかと思つた。
そして、その次の瞬間・・・
「射殺されました」

まさか！
そんな、バカな！
ジョンは５年ぶりにやうやくカムバックしたばかりだといふのに！
まさに 「スターティング・オーヴァー」 だといふのに！

ビートルズが來日したのは、私が６歳になる年。
解散したのが１０歳の年。
私は遲れて來たビートルズ・エイジだつた。
そんな私のお氣に入りは、當初はジョージ、高校以降はジョン。
ジョンが好きだつた私にとつて、「ダブル・ファンタジー」のリリースは嬉しい大事件だつた。
それだけに、このニュースはショックだつた。

この日以來１２月８日は、私にとつて、眞珠灣攻撃の日からジョンの命日に變はつた。

	ダブル・ファンタジー ～ミレニアム・エディション～
	ジョン・レノン,ヨーコ・オノ
	EMIミュージック・ジャパン