「東北新幹線『はやて』殺人事件」 ～大原麗子さん出演

私は、 大原麗子さん のファンだつた。

高校生の頃まで、「好きな女性のタイプは？」と訊かれると、大原麗子さんと答へてゐた私。
お顏だちもさることながら、あの甘いハスキーなお聲がたまらなく好きだつた。
だから、 昨年８月に亡くなられた時 には、殘念でならなかつた。


けふの午後１時からＴＢＳ系列で、 【西村京太郎サスペンス　十津川警部シリーズ「東北新幹線『はやて』殺人事件」】 を見た。
新聞のテレビ欄の出演者に大原麗子とあつたからだ。

彼女の役どころは、無實の弟を逮捕し死に至らしめた十津川警部を憎んでゐる女性。
「カサブランカ」といふスナックのママさんで、事件の被害者は常連客の男性。
その男性はママさんに思ひを寄せてゐて、殺される數日前に結婚を申込んでゐた。
ママさんは警察を信用してゐないため、自分で犯人を見つけようとする・・・


作品中で、「２００４年最後の事件」といふセリフがあり、このドラマが２００４年に作られたことがわかつた。
といふことは、大原麗子さんが亡くなる５年前。
大原麗子さん５７歳の作品といふことになる。

さすがに、容色の衰へは隱せない。
彼女のアップのシーンは必ずと云つてよいほどソフトフォーカス。
彼女の要望なのか監督の配慮なのかはわからないが、ファンとしてはありがたい。
やはりかつてのイメージを毀してほしくない。
知らず知らずのうちに、自分のなかでもフィルターをかけて、美しい大原さんを見ようとしてゐる自分がゐた。

しかし、あの聲は健在だつた。
なにかの拍子に、背筋に電流が走るやうな感じがした。
「少し愛して、長～く愛して」といふ洋酒のＣＭ を思ひ出した。


いま調べてみたら、どうやらこの作品がＴＶドラマでは大原麗子さんの最後の作品になるやうだ。
見ることができて良かつた。