序は属音を連打するユニゾン、半音階のバスで変化しつつドミナントに向かう和音…両者が拮抗する。
その頂点で3連符のアルペジオと共に現れるロンド主題はFis-G、Ais-H の2つの半音から成り、序と直接結び付く。
学生の頃、この終楽章の演奏をクリアな録音のFMで聴いた時、ロンド主題が再現する度に伴奏形が変化し、逞しく成長していくのに身震いした。
最初の3連符の伴奏には、主題の断片が影のように聴こえる。
2回目のe mollの伴奏は「左手4音:右手3音」の組合せで、リズムのずれが目眩を呼ぶ。
そしてH dur となるコーダでは第1楽章の冒頭が稲妻のパッセージとなり、ロンド主題の縮小形[Fis-Fisis(=G)-H](半音-長3度)が半音階の錐揉みとなって飛翔する。
この音型は第1楽章の冒頭[G-Fis-D]の反行形であり、「ソナタ第2番」終楽章の冒頭[F-G-B]にも近く、あたかも2曲が統合されたかのような大きな終楽章の様相を呈する。
これほどカッコ良い曲は他に無い。だから暗譜した。
最新の画像[もっと見る]
- アルトフルートのための"The Salutation" 再演 8年前
- 《Breeze in A》の指揮/YouTube 10年前
- 島村楽器ピアノフェスティバル語録(第8回~第10回) 13年前
- アルトサックスとピアノのための《詩篇》初演予定 13年前
- ユーロミュージックから「ショパンのノクターン」楽譜出版 13年前
- 6手のための「ショパンのノクターン」編曲/初演予定 14年前
- バリトン歌曲《月》再演/奏楽堂 15年前
- 初見課題曲 17年前
- ウィンドオーケストラ作品の委嘱 19年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます