今年第18回との事で、これまで携われた出場校、指導された先生、審査された講師、関係者の方々に心から敬意を表します。高校生の皆さんが勉強の合間に練習してここまで成し遂げた事は立派。個々の演奏については審査用紙に書いたので、全体的な感想を簡単に述べます。
ギター・マンドリン合奏のスコアは大らか。人数も自由、ある音をどの弦で弾くか、弦のどの辺を弾くかも殆ど指定していない。その大らかさゆえ、演奏者の解釈に委ねられる余地が多い。
例えばトレモロはふかふかの絨毯の様。これは長所でもあり短所。ふかふかの絨毯で緊張感は出せないから。ではどんな音が相応しいか、場合によっては半分の人数で良いのではないか。
また、強弱を出すには音色も伴わなければ、ただ書いてあるからやったという消極的なものになってしまう。
時には曲の構成的に弱い箇所を見破って補うくらいの意気込みで(完璧な曲など無い)。編曲の場合は原曲を忘れさせるほど新たな価値、魅力を生み出せるか…など。
ところでマンドリンという楽器は、パラダイスのような温かい表現に向いていると思っていたが、悲劇的・ドラマチックな表現も出来る事を今日知って、驚いた。
それなら冷たい響きのシリアスな表現はどうだろう?もし不向きなのであればなおの事、チャレンジして欲しいと、切に願う。
今日聴かせて頂いた中の特に優れた演奏は、ギターであるとかマンドリンであるとかいう事を忘れさせ、音楽そのもので感動させられた。それこそ、演奏の理想だ。
(静岡県高等学校文化連盟「第18回演奏会:ギター・マンドリン部門」で私が述べた講評/静岡市清水文化会館マリナート)
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