昨年はレベルの低かった団体が今年は格段に向上し、全体の底上げが成された。素晴らしい!
弦楽合奏はモノトーン。モノトーンの魅力は何か。しかも撥弦楽器の合奏ならではの…。
ジャンジャカ景気良く鳴る吹奏楽やオケの真似事をしても、まず音量からして歯が立たない。逆に、吹奏楽やオケには叶わない魅力が撥弦楽器の合奏にはある。
選択肢は無限にある訳ではない。それを絞るのが「創造」。
メロディーがきれいとか、リズムがカッコいいという理由で曲を選ぶのも、まあ良い。
楽天的なイタリア風ロマン派音楽の編曲などはマンドリン合奏のレパートリーとして定着しているが、これもまあ良い。
しかし、それらを敢えてマンドリンやギターの合奏で演奏する必然性はあるのか。
モノトーンの魅力は何か…その答えは「墨に五彩あり」。墨は無限の色彩を表現出来る、という意味だ。
音楽をバロックからロマン派までの範囲に限定せず、民俗音楽、現代音楽まで拡げて見渡せば、墨絵に相応しい音楽はいくらもあるだろう。
私は「高校生らしい良い演奏」などという意味不明の言葉では片づけられない演奏を望む。
何か凶暴な予感、あるいは人を食ったような、ふざけているとしか思えない表現など、こんな音楽をのさばらせていては明日の我が身が脅かされる、と審査員が恐れるような、こういう音楽が新しい時代を切り拓く。
曲が無ければ自分たちで作ってしまえば良い。自分たちの特性に合わせた曲を、作曲家に作ってもらっても良い。
「これはやってはいけない」と規則に書いてない事は何をやっても良い、クリエイティブの世界では。
静岡から、日本をアッと言わせるようなアンサンブルが生まれて欲しい。
(静岡県高等学校文化連盟「第19回演奏会:ギター・マンドリン部門」で私が述べた講評/浜松市立高等学校 講堂)
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