弱肉強食の世界に棲む獣たちは滅多に声を出さない。餌を探す時も、水を飲む時も、仔を育てる時も、交尾の時も…
声を発すれば天敵や獲物に己の存在を知られてしまうから。
では無口の人間は獣と同じか?
先日、茶の湯の作法を紹介するテレビ番組を見た。
客が訪れ、庵に案内され、料理が振る舞われ、庵の外に出て茶を待ち、銅鑼の合図で再び庵に入り茶を頂く。
その間、亭主と客は殆ど言葉を交さない。客は静寂の中、景色を、掛け軸を、料理を、食器を、光や影を、匂いを、風を、そして音を愛でる。
何と濃密な時間だろう。これぞ最高の持て成し、無口の美学!
==フランス人Anethさんのコメント==
現代人は静寂を恐れているかのようですが、静寂に天敵の気配でも察しているのでしょうか?
スーパーマーケットでも、エレベーターでも、公共の場でも、交通機関でも…私たちが強いられている「音楽」は野生の人間が獣を近づけないよう発していた「騒音」のようなものなのでしょうか。ごく小さな村にまである街灯は、洞穴の入り口を守っていた火と同じ働きをしているのでしょうか。
では静寂は文明のあかしとなるでしょう…興味深いことに!私たちの社会は「より文明に」ではなく、「より野蛮に」の方へ近づいているように見えます。私はそれを強く感じます。
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