新作の構成がまとまった今、音楽の群衆を一人一人描いている。
構成を試行錯誤していた段階では没にするかも知れない断片の、細部まで緻密に書くことは無駄になる可能性が高い。
背景となるパートほど、取りあえずあり合わせの音をざっと置いておき、全体像が決まったらきちんとした音をつけ直す。
言わば、音楽の身だしなみ。化粧次第で別人の様に豹変するのはオンナ…そしてオンガク。一本のごく単純な線が、背景によって異化することを願う。
背景の群衆は一人一人、固有の感情ですすり泣いていなければならない。それを音符で描く。時間のかかる地道な作業。
敢えてつながり難いモチーフを並べてもみた。それをどうつなぐか。難局面を切り開くために新たなテクニックを生むことを自らに課した。
新たな表現…それは常に新たな場所にあるとは限らず、意外にも過去にあることもある。
成功作では無いからこそ、演奏されずに眠っている作品の、これは絶対に捨てられないという一部分。
その時はそういう手法でまとめたが、今ならもっと良い手法、あるいは全然別の手法で出来るのではないか。
それらを拾っていくことでも、新たな作品像がぼんやり見えてくる。
「感覚重視では無く、発想を飛躍させた挑発的な」というのが今回のテーマ。
禁欲的手法が反動によって蓄えられた力強さを生むことを体験した。感情表現の反動の、さらにその反動、即ち“負の力”。
曲の結びで国歌の引用を試みた。ドビュッシーの「花火」ではフランス国歌だが…この機会に世界の国歌をCDで聴く。どれも似ていて国籍不明。
♫ 試聴
最新の画像[もっと見る]
- アルトフルートのための"The Salutation" 再演 8年前
- 《Breeze in A》の指揮/YouTube 10年前
- 島村楽器ピアノフェスティバル語録(第8回~第10回) 13年前
- アルトサックスとピアノのための《詩篇》初演予定 13年前
- ユーロミュージックから「ショパンのノクターン」楽譜出版 13年前
- 6手のための「ショパンのノクターン」編曲/初演予定 14年前
- バリトン歌曲《月》再演/奏楽堂 15年前
- 初見課題曲 16年前
- ウィンドオーケストラ作品の委嘱 19年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます