お客さまの要求にどう対処するか、その手腕に対価を頂いているのが我々講師だ。だからこそ一人一人の能力、可能性を見極め、レッスンを継続することで出来ること、出来ないことを明示することが最初の務めだ。それにはお客さまがしばしば熱く語るご自身の夢や希望に耳を傾けつつも、感情的な部分は排除し、冷静に可能性を探らねばならない。
人の能力は、何を語るかではなく、何を為したかによってのみ知ることが出来る。
さて年末恒例、会社のピアノ講師との面談が終わった(写真:会場のある亀戸)。面談に関しても同様、演奏や論文に接する最中、良かれ悪しかれ僕は感情を挟まない。
感想を本人に伝える際も、良い内容なら感情を出すのに吝かではないが、辛い内容であれば感情を込めずに話す。
論文の要旨を頭に入れ、褒めるべき点を褒め、励まし、しかしそれではこちらが一方的に話すだけなので、できれば一つ質問する。
論文には直接書かれないことが多いが、行間から講師が困難さを感じている根本的な要因だと思われる事を推測し、探ってみる。
ピアノ科だけでも100人程度の講師を相手にするので、自ずとコメントはエッセンスのみの簡潔なものになる…というか、普段から僕はおしゃべりは苦手だ。
こんな技を身に付けたのも、会社が僕のような者に、青二才の頃から我慢強くこの重責を託してくれたからに他ならない。
正しいコメント、間違ったコメント、当たり前のコメント、説教がましいコメント、何を言いたいのか分からない長ったらしいコメント、感情的なコメント…一通り全部やった。
職種を問わずプロは皆、簡潔に一言で言われる事を好む。ニーチェの言葉を模倣するなら《言うべき事を一言で面白く言えるか、さもなくば何も言うべきことを見出せないか、どちらかだ》。
…指導とは、託すことか。自分が子供相手のピアノのレッスンを退いた今、一切を会社の講師に託すしかない。
(写真:井の頭公園にて)
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そういう西田さんもHindemithの弟子の弟子の弟子の、良識ある弟子ですのに。
では今年もよろしくお願い致します。
石川の西田です。
さっそくですが、先月お渡ししましたスコアを返していただきたいと思っていたのですが、考えが変わりまして受け取る気持ちになれなくなりました。
先生の先生の先生がHindemithに師事したという事実に偉大さを感じ、良識ある先生が持つべきだろうと思ったからです。
作曲の役に立つかどうかわかりませんがどうかお受け取りください。ぼくには初見で冒頭のメロディを弾かれる姿を見ただけですばらしいと思いました。
先月は年末ということもあってなのかレジや配達業務に追われて伺うことができませんでした。申し訳ございませんでした。
東京地方はどうですか。北陸地方は北極からの大寒波にさらされ雪かきに追われています。
それでは、今年もよろしくお願いいたします。