エステティシャンの皆様へ

連載シナリオ『黒電話』

３２　サーフショップ『タイガー』
　　正樹、入って来る。
店主「はい、いらっしゃい」
　　正樹、ペコリと頭をさげる。
　　正樹、中古サーフボードのコーナーで
　　立ち止まる。
　　何れのボードも、５万円以上の値札がつ
　　いている。
　　正樹、財布を取り出し中身を見る。
　　財布には１万円札が３枚のみ。
　　５万円のボードを見ると、日焼けして、
　　修理箇所が沢山ある、オンボロボード。
店主「中古かい？」
　　正樹、手を振り、
正樹「いえ、いいです」
　　正樹、そそくさと立ち去る。

３３　食堂
　　正樹、ションボリした表情で入って来る。
歌江「あんちゃん、どうした？元気ないな」
　　歌江、タバコを灰皿で潰す。
正樹「いや」
　　正樹、厨房に行き。
正紀「おばちゃん、お願いがあるんだけど？
　　春江、キャベツを切りながら。
春江「何？おにいちゃん」
正樹「バイト代の前借出来ないかな？」
春江「どうしたん？何に使う？
　週払いで出だしてるやろ、足りないんか？」
正樹「サーフボード買わなくちゃ
　いけないから」
春江「そういえば、昨日ボードが折れたとか
　言いおったね」
正樹「ええ」
春江「幾ら要るん？」
正樹「最低５万は必要なんだ、だから２万
　前借したいんだけど？」
　　花江、洗い物をしながら、
花江「あんなんが５万もするんか？」
正樹「中古で５万、新品だと１５万とかする」
　　花江、手が止まり。
花江「ひゃー～、タマゲタ！あんな板が
　１５万、もう辞めとき」
春江「そうも、いかんやろ、サーフィン
　楽しみで島に来てるのに」
花江「義則ん所に、ナンボか転がってるやろ」
春江「あ！そうだ」
　　春江、正樹の肩を叩き。
春江「義則って、私の従兄弟でサーフィンし
　よるんよ、そんじゃ今から行こ」
　　春江、正樹の手を引く。
　　正樹、首を傾げる。
春江「今日も、夕方からサーフィンするんや
　ろ、行こ行こ」
　　正樹、首を傾げながら春江に引かれ
　　立ち去る。