諏訪山岳会公式ブログ

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大ヤスリ岩

2011年11月07日 | クライミング

マルチ06 大ヤスリ岩ハイピークルー
日時:2011年 11月5日
参加メンバー:namiさん、茅野山岳会 M上さん、U山
       

昨年に引き続き、晩秋の瑞牆の岩を大ヤスリ岩ハイピークルートで楽しんできました。

この日は8時前に瑞牆山荘に到着したが、人気ハイキングコースの入山口だけあってすでに駐車場は満杯。道路脇に車を止めて、大勢のハイカーとともに瑞牆山に向けて出発。

大ヤスリ岩は瑞牆山頂上直下にあって、アプローチはすなわち瑞牆山ハイキングなので、今回は最低でも片道2時間は歩くことを覚悟して来たのだが、M上さんが調子よく飛ばしたおかげで富士見平での休憩をはさむこと1時間40分にてハイピークルート基部に到着。
ま、早いに越したことはないのだが、前日は風邪で会社を休み、加えて一日中寝ていたせいで、ただでさえおかしい腰が更に悪化していた病み上がりの自分にとっては非常に厳しいアプローチであった。

取り付きで準備をしていたら先ほどまでの青空がすっかり雲に覆われて、予報より早く天候が下り始めているようだ。

ハイピークルート1P目は遠目に見てもそれとわかるワイドクラックで一目瞭然。

左の写真の中央の上部岩塔右側のスカイラインから下に続く割れ目がそれ。

ちなみに右上の岩峰が瑞牆山頂上。

準備を終えて、まずは本クライミングの言いだしっぺのU山リードでスタートする。



1P目 5.9
ワイドクラックの出だしはかぶっているので、まずは左のクラックを数メートル上がり、そこから右にトラバースしてワイドに戻る。このトラバースが核心部らしいが、その先のワイドも久々なことも手伝ってそれなりにしんどい。今回はワイドクラック向けに大きめプロテクションを持ちあげたのだが、さすが1970年に拓かれたクラッシックルートだけあって、トラバース部にもクラック脇にもぬかりなくボルトラダーが打たれていて、これ幸いとばかりに目の前に次々と現れる浅打ちリングボルトにヌンチャクを懸けさせてもらったのでした。
<1P目>
ということで、このルート、あるものは何でも使って登るのであれば、カム類は無くても多分問題ないだろうし、持って行くとしてもキャメの#1前後が数個あれば事足りると思う。

その先、ワイドクラックが更に広がる手前のビレイ点はパスして登り続けチムニー状の凹角入り口で残置ボルトとカムを使ってビレイ点とする。

後続の二人は、さすがにワイド登りには慣れていないようで、あれこれ悩む前にさっさとA0を交えて登ってスピーディーなフォローを心がけてくれたのでした。


<1P目をフォロー中>

2P目 Ⅲ級
チムニー状の凹角を浮石に気をつけながら登る。オールドクライマーにとってはRCCグレードのⅢ級がぴったりのピッチ。
2/3ぐらい登ったところに新しいビレイ点が作ってあって、多分、1P目でここまで登るのが現在のスタンダードなピッチの切り方なのだろうと思う。ここを抜けると、どこかの高層ビルの吹き抜けに造られた屋内庭園みたいなところに出て岩角にスリングをかけてビレイ。

3P目 5.7ぐらい
M上さんにリードをバトンタッチする。
スラブから少しかぶり気味のクラックを超え、更に両側を岩に囲まれた岩の回廊のようなところを上がると正面のチョックストーンに行く手を阻まれてそこにビレイ点がある。左は頂上岩塔、右は大ヤスリ岩の基部を形成する岩の台座と、造りの大きな岩に囲まれている古代遺跡の様な場所だった。


<3P目の中盤あたり 左上が頂上岩塔>

4P目 A1
最後のすっきりした岩塔のボルトラダーを辿るピッチ。
M上さんは傾斜に気乗りがしないとのことで、再び自分がリードすることに。

このピッチ、瑞牆山頂上に佇むハイカー達の視線にさらされながら登るピッチなのだが、実際に登ってみれば、たまにこっちを見ての声が聞こえるぐらいで、見られていることなど全くわからないし気にならない(当たり前か)。

ラインは、先ほどのビレイ点から一回右の台座に寄り道し、チョックストーンを渡って頂上岩塔に取り付く(ビレイは台座の上に移動してやるのが正解か?)。
岩塔に取り付けば、出だしは多少かぶり気味だが基本的には垂壁のボルトラダー登り。とはいえ昨年の大面岩北稜ルートほどではないにせよボルト間隔は結構遠くて、8割方は最上段に立ち込まないと次のボルトに届かない。
ちょうど中間部あたりにリングが欠損したボルトが一本あって、リングのかわりに5mmの細引きがかかっているが、この細引き、直射日光と風雨にさらされて脱色したとても頼りなさげな代物で、乗るのが少々ためらわれた。(下のボルトは水平2本打ちなので多少は信頼できるが・・・)。
不思議だったのは、ボルトの水平2本打ち(ところによっては4本打ち)が何箇所もあったことで、一体何が目的でそうしたのかよく理解できなかったが、使う側にとってみれば安心感が増してありがたかったわけでケチをつける気は毛頭なし。
まあ、そんなこんなで高度を稼ぐうちに、壁の傾斜がきっかり垂直なためか、ロープの重さがダイレクトに体にかかってきて、クリップするときなど下でロープを引いてるんじゃないかと錯覚するぐらいの重さを感じるようになった。そんな地球の重力に抗ってさらにアブミの架け替えを繰り返すとひょいと目の前に向こう側の空間が広がって終了点に到着。
ルートの内容はどうあれ、遠くからも見栄えのする岩塔のてっぺんに立てたことが単純にうれしくて気分がよい。

フォローのnamiさんは、アブミにさほど乗りなれていないこともあって、下部では少々手こずっていたようであるが、足元にぴたりと寄り添うM上さんのサポートもあって途中からは順調にアブミをかけかえて無事到着。ほどなくM上さんも到着し、3人で完登の握手を交わす。

<もうすぐ頂上>


下りは頂上からは2回の懸垂で基部に着き、そこから登山道をすこしばかり下れば取り付きに戻る。

昼食の残りとギアの整理を済ませて下山開始。

富士見平への登り返しの手前あたりで予報よりかなり早く小雨が降り始め、さらに富士見平からは日が暮れて足元が徐々に見えづらくなってきたが、先頭を行くM上さんに止まる気配は見えず、そのままヘッデンなしで下り続ける。
意外なことに結構暗くなってもそれなりに道の凹凸が見分けられて、登山口までほぼ問題なく歩くことができた。
逆にヘッデンをつけていた後続パーティーのほうがわれわれよりこける回数が多かったが、これは単なる歩き慣れの差のせいなのか?それとも、何か人間の視覚にでも関係しているのだろうか?



車に到着したときはとっぷりと暗くなって、ヘッデン無しで歩けるタイムリミットであった。
頭にかぶっていたバンダナはしっかりと濡れていたものの、体は濡れるまでには至らず、こちらもぎりぎりセーフであった。

瑞牆山荘 8:00過ぎ ~ ルート基部 10:00ぐらい ~ クライミング開始 10:30ぐらい ~ ピーク ? ~ 取り付き 15:00過ぎ ~ 瑞牆山荘 17:00過ぎ

以上





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