ルート:錫杖岳北東壁左ルンゼ
日時:3月11日 メンバー: まっきー、H岡、U山
今回は山行の一週間前から季節外れの温かさが続き、雪崩等も含め壁の状態の悪化が懸念されましたが ダメもとで行ってみようということになって錫杖を目指しました。
槍見から2時間弱、アプローチから見上げる前衛壁は予想通り黒々としていてアイゼン・バイルの切っ先がが丸まりそう。そこで、少しでも多くの氷雪を求めて日の当たらない北東壁を目指すことにしました。
岩小舎で休憩中に上がってきた二人パーティーは1ルンゼを目指してきたそうですがやはり壁の状態を見て北東壁に転進するとのこと。
P4を回り込んで北東壁を見上げると左ルンゼは上部まで氷雪が続いていそうなので取り付くことにしました。
先ほどの二人パーティも後続します。
1~3P目は傾斜が緩いルンゼ。1・2P目をリンクして登りましたがラインが途中で屈曲しているのでコールが届かず、ロープの流れも悪くてかえって時間を食ってしまいました。ここはTOPOに従うべきでした。
<1P目>
<TOPOの2P目>
後続の二人パーティーはロープを付けずに我々を追い越していきました。下部3Pはロープを付けないパーティーも多いようですが、ところどころ傾斜が強いところも出てくるので迷うときはロープを付けた方が無難でしょう。
核心部始まりの4P目。取り付き周辺にしっかりした氷は無く、右の壁にカムをセットしてビレイ点としました。
<4P目 ビレイ点>
下はビレイ点から振り返り見るグラスホッパー。2月の末に見たときも発達が悪かったですがこの暖かさでさらに拍車がかかり、遠目にはかろうじて氷が張り付いているようにしか見えませんでした。今シーズンはここを目標にしていましたが、自分の技量ではとても歯が立たないような状態が続いて来シーズンに持ち越しとなりました。
<グラスホッパー>
通常は4P目の氷はいろいろラインを取れるようですが、この日は右端以外に選択肢は無し。背中を岩に押し付けてバランスを取りながら氷を登りましたが、雨垂れのように降ってくる融雪・融氷の雫ですっかり濡れてしまいました。
滝を超えて氷結したルンゼを登り、次の滝の取り付きでビレイ。ここもしっかりした氷が得られず、懸垂用のアバラコフ2セットにスクリューを1本補強しての少し心もとないビレイ点しか作れませんでした。
<5P目ビレイ点 アウターがビショ濡れ>
5P目は意外と立った氷。出だしはスカスカで傾斜もあって緊張しましたが、そこを超えると氷もしっかりしてきて純粋なアイスクライミングになりました(更に濡れました・・・)。氷を抜けたところのブッシュでビレイ。
<5P目>
氷を抜けた先には大きな雪田が控えています。これがあるので降雪中や直後を中心に雪崩への警戒は怠れません。今回は連日の温かさで落ちるものは落ちた後の状態でしたがさらに融雪が進めばブロック雪崩等の危険も出てくるでしょう(その頃には氷も登れないと思いますが)。
<雪田>
雪田最上部から先行パーティーのトレースを追って左にトラバースし烏帽子岩から続く尾根を下降すると残置ビナが掛かる懸垂支点に至ります。5P目の終了点から左上にも懸垂支点が見えましたが、そこから下ると氷の途中でピッチを切らざるを得ないのに対して、この支点から下れば4P目の滝上の木に残置された支点に下れるのでアバラコフを作る手間が省けます。ありがとう先行パーティー!
<雪田上部を尾根に向けてトラバース>
懸垂ポイントからはこれまで見たことが無かった北尾根方面の風景が良く見えました。こちらの山容もアルペン的で登高意欲を掻き立てられます。そのうちチャンスがあったら取り付いてみたい。
<懸垂ポイントから北尾根方面を望む>
ここから懸垂4回で取り付きに戻り、トレースの踏み抜きに難儀しながら最後はヘッデンを点けて駐車場に無事帰着。
ダメもとの山行だったけどシーズン最後に駆け込みで一本トレース出来てメデタシ、メデタシ。
諏訪 3:00 -槍見 5:30 ~ クリヤ岩小舎 8:00 ~ 左ルンゼ取り付き 9:30 ~ 終了 13:30 ~ クリヤ岩小舎 16:00~ 槍見 18:00
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