4月例会山行
日時:2022年4月9,10日
ルート:遠見尾根から五竜岳ピストン
メンバー:K島、H間、M島(試し)、U山
4月例会山行は、雪山経験が少ないメンバーに経験を積んでもらうことを目的にして五竜岳の宿泊登山を行いました。
<テン場からの五竜岳>
4月9日 快晴
参加メンバーのH間、M島さんは今回のようなパーティーを組んでの雪山宿泊山行は初めてということでいったん諏訪湖ヨットハーバーに集合してもらって装備をチェックさせてもらいました。お二人とも今回の山行にはそぐわない装備をチラホラとお持ちだったので、そういったものは車に置いてきてもらうようお願いして、いざ出発。
二手に分かれ、U山は安曇野住人となったK島さんをピックアップしてスキー場へ。H間・M島組にはスキー場に直行して駐車スペースを確保してもらいましたが、おかげでゴンドラ近くの駐車場に2台とも停めることができました。
準備を済ませ、ゴンドラ、リフトと乗り継いで、大勢の登山者が列をなす遠見尾根のトレースに足を踏み入れたのは8時ぐらいのこと。雲一つない快晴で小遠見~中遠見~大遠見と、終始、青空の下に広がる純白の後立稜線を眺めながらの稜線漫歩となりました。
<登山者でにぎわう遠見尾根>
<小遠見からの五竜岳>
<正統派テント食>
<登山者でにぎわう遠見尾根>
<小遠見からの五竜岳>
テン場予定地の大遠見に12時に到着し、テント設営を開始。
皆で肩を組んでの整地に始まり、雪山でのテント設営時のポールの扱い方、アンカーの作り方、防風ブロックの作り方など ポイントとなりそうなところを説明しながら進めました。
<整地>
<設営完了>
<カクネ里をバックに><設営完了>
昼食後はテント近くの斜面で、雪山におけるロープワークの講習。最初にアンカーの作り方をいくつか紹介し、次はそれらを使ってのスタカット登高の実践練習。2Pほど登ってテントに戻ってきたら結構いい時間になっていたので、あわててK島講師によるビーコン体験会に移行。雪崩に埋没したことを想定したビーコン探しをやってみましたが、時間がなかったこともあって、体験してみたというレベルまで。
やはり大遠見までテントを持ち上がると、訓練や講習に割ける時間は限られますね。もし、訓練、講習にウエイトを置くのであれば、もっと手前でテント設営をした方がよいと思います。
テントに戻り、夕食準備までの時間、H間、M島の二人は夕暮れの後立の撮影に余念がなかったようで、おかげで良い写真が取れたようです。
テントに落ち着いてからは食当を買って出てくれたK島さんに全てをお任せして、自分はアルコールに集中させてもらいました。雪水作りの講習から始まって、夕食つくりまでK島さんありがとうございました。最近の宿泊山行はFD食品中心の個人別メニューが続いていたので、大コッフェルの寄せ鍋(?)には、正統派雪山テント食の風格が感じられました。
<正統派テント食>
4月10日 快晴
この日は3時に起床。暗いうちからヘッデンを点けて出発準備を進めましたが、なんとK島さんのアイゼンのヒールレバーが装着中に壊れてしまい頂上アタックを断念、テントキーパーをお願いすることになってしまいました。
当初の予定では、頂上アタックのルート候補としてG0稜も考えていましたが、ここしばらくの不安定な天候のため雪の状態に不安が残ることと、なによりも雪山経験が少ない人を登らせるには少々傾斜がきつすぎることからG0案は却下し遠見尾根を忠実にたどることにしました
<G0稜と遠見尾根~白岳>
主稜線に出ると、夏道沿いに黒部側斜面のトラバースが延々と続きます。この時期の朝の雪面は固くクラストし斜面は稜線から黒部湖まで続く(少し大げさ)一大バーンとなっているので、ヘマればただじゃすまないでしょう。
<白岳~五竜の稜線>
フラットポイントで雪面を確実に捉え、左右クロス気味の足運びで一歩一歩に集中しながらのトラバースは気を遣います。さりとて、安全確保のためにロープを使おうにも積雪量が少ないので雪のアンカーは作れそうもなく、支点になりそうな岩は乏しいし、ましてやスタッカットで行動していたら今日中の下山はおぼつかないでしょう。先頭に立って、スピードを抑え、後続の二人に対してこまめに足の運び方やピッケルを付くタイミングを指導しながら着実にフォローしてもらうことを心掛けました。さすがに、お二人ともこのトラバースには気疲れしたようでした。
このトラバースを終え、2か所ほど岩場を巻くと最後の急な大斜面。階段状のステップ(バケツ)を上がり、その先に続く水平な稜をたどるとその終点が頂上でした。黒部の谷を挟んで剣岳が我々の登頂を迎えてくれました。
<五竜頂上 剣をバックに>
<五竜頂上 剣をバックに>
下りは最初の急な大斜面が核心部となりますが、二人ともピッケルを深く差し込みながら着実にバックステップで降りてくるのを見てロープは出しませんでした。
<頂上直下の斜面>
<主稜線の下り>緊張の登りを強いられた斜面のトラバースは雪が緩みしっかりとしたステップもできていたので、あまり緊張することなく下ることができました。
その先も登りのトレースを忠実に下り白岳経由で正午前にテン場に帰着 。K島さんがテントから表に出て我々を迎えてくれました。
その後、テントを撤収し、15:00には駐車場に着いて無事終了。お疲れさまでした。
今回は好天に恵まれて、H間さん、M島さんには、春の後立&雪山テント泊を満喫してもらえてよかったと思います。
振り返ると今回の登山には一つ間違えればただでは済まないという危険個所が何箇所かありました。こういったところはロープ確保などでリスクを最大限に減らす努力が求められますが、同時にリスク対策の弊害(例えばスピード)も天秤にかけ登山全体の安全や取れ高(?)を考えて、あえてリスクテイクを選択するケースも多々あります。登山は自然の中で行う活動であるがゆえに100%の安全などありえないと思いますし、それが雪氷に覆われた条件になればなおさらです。その辺の事情を理解し、リスクに対する自分の折り合いのつけどころを探りながら、雪山を楽しんでいってほしいと思います。
振り返ると今回の登山には一つ間違えればただでは済まないという危険個所が何箇所かありました。こういったところはロープ確保などでリスクを最大限に減らす努力が求められますが、同時にリスク対策の弊害(例えばスピード)も天秤にかけ登山全体の安全や取れ高(?)を考えて、あえてリスクテイクを選択するケースも多々あります。登山は自然の中で行う活動であるがゆえに100%の安全などありえないと思いますし、それが雪氷に覆われた条件になればなおさらです。その辺の事情を理解し、リスクに対する自分の折り合いのつけどころを探りながら、雪山を楽しんでいってほしいと思います。
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