宝剣岳東面壁中央稜
日時:2019年3月8(金)~9日(土)
メンバー:U山、F見、O石(記)
中央アルプスで岩稜登攀コースとして名高い宝剣岳東面壁中央稜に行って参りました。
降雪間もなく、いかにも積雪期らしい手応えのあるクラシックアルパインルートを無事に楽しむことができましたので、そのレポートです。
O石は3年近く前、入会間もない5月末に行っていますが、当時は雪もなくフラットソールシューズによる登攀でしたので、今回のアイゼン、アックスによる積雪期登攀は気が引き締まります。
8日、始発のロープウェイで一気に標高2612mの千畳敷まで。(いつも思いますが文明の利器は素晴らしい!) 3日から6日にかけて60センチほどの降雪があり、カールにトレースはありません。先行のスノーシュー組が数名いましたが、乗越近くになると傾斜も強くなり、雪も厚いのでシューでは難儀して進みません。アイゼンツボ足の我々には御利益にもならないので、先頭に出て空荷ラッセルで乗越までトレースを付けました。少しは後続の皆さんのお役に立てたようです。
たどり着けば大快晴の南アルプスと富士山が素晴らしく目に飛び込んできました。
早速、宝剣小屋の軒下をお借りしてテントを設営し、明日の登攀に備えて下見に出発。
先ほど来たカールを下降し、間もなく右にトラバース。
雪崩のリスクが比較的高い状況なので慎重にトレースをつけて進みます。
本来の取付点よりもやや中央ルンゼ寄りの雪稜を直登し、中間バンドに到着。
Ⅳ級コース側の1ピッチをF見により試登、途中にランニングをとりロワーダウン、さらにFIXロープを張って明日の下ごしらえをして帰還。今日はここまで。
テントに戻って標高2700mの贅沢な宴を経て静かな夜の眠りにつく。
9日 快晴、6:00出発、6:45登攀開始。
1ピッチ目U山リード。
草混じり、雪の乗ったベルグラ混じりの岩に丁寧にアックスを充てて逆くの字コースを進みます。立ち木でビレイ。30m
2ピッチ目U山リード。
5mほど進むと本来のビレイ点であろうハーケンが3本撃ち込まれた岩の割れ目をすり抜け右上。ホールド、スタンスとも貧弱な立った岩を、残置スリングを借りながらA0で通過。さらにスリングで足場を作ってA1交えて乗り越す。アイゼン、アックスを慎重に、さながらドライツーリングのように充てながら一気に凹角下までロープを伸ばす。40m。全体を通してこのピッチが自分にとっては核心だったように思う。U山さんの登攀技術に助けられたピッチだった。
3ピッチ目、U山リード。
早速凹角を2機のアブミA1で離陸。左に回り込みピナクル下のオケラクラック下でビレイ。20m。
4ピッチ目、O石リード。
20mほどのオケラクラックから始まる気の抜けないピッチ。
先回は気持ちよく決まったフットジャムはアイゼンでは勝手が全く違います。アイゼン付きの靴が嵌まりそうな巾のクラックを見つけながら慎重に乗りこみ、クラックに詰まった雪を穿りながら4番、3番とキャメロットをこまめにセット、幸いクラック奥の岩にアックスがかかるのでハンドジャミングなしで進むとベルグラ状態の一枚岩に行く手を阻まれる。
氷を落としてもアックスの掛かりそうなポイントがないので、傾斜はきついが草付きの左ルートを登り中央稜左フランケルートとの合流点でビレイ。30m。
氷のついた花崗岩は厳しいです。
5ピッチ目、O石リード。
出だしが嫌らしい岩稜を30mほど進むと少し寝た雪稜が現れ、さらに進むとリッジに出るも完全に雪に埋もれてビレイできそうなポイントはない。
仕方ないのでリッジが水平に変わるポイントに狙い定めて雪を40センチほど掘るとしっかりした岩が現れたが全く支点になりそうな凹凸がない。僅かなリスを見つけ出してハーケンを1枚撃ち込み、アックスを埋めてビレイを構築してフォローを上がた。ずいぶん時間を使ってしまった(反省)。40m+。
この先1ピッチ30mほどダラダラと稜線歩いて山頂のつもりが、10mほどで宝剣のお立ち台岩が現れたので、先ほどのピッチはずいぶんロープを伸ばしていたのだと後で気づいた。
最後の10mはF見のリード歩行で12:00登攀終了。
山頂で記念撮影して鎖場を下降。
テントに戻りランチを済ませて撤収。
千畳敷を下降して14:55の満員のロープウェイに乗せてもらえず15:15の臨時ロープウェイでしらび平駅に戻りました。
先回はフラットソールシューズで雪のない初夏のようなクライミングを楽しんだ際は、次回はアイゼン、アックスによるアルパインスタイルでチャレンジしたいと思いましたが、今回その想いが叶いました。
中央アルプス宝剣岳東面壁中央稜。
またとない絶好の天候と良き仲間に恵まれ、手応えのある登攀を楽しめました。
ありがとうございました。
日時:2019年3月8(金)~9日(土)
メンバー:U山、F見、O石(記)
中央アルプスで岩稜登攀コースとして名高い宝剣岳東面壁中央稜に行って参りました。
降雪間もなく、いかにも積雪期らしい手応えのあるクラシックアルパインルートを無事に楽しむことができましたので、そのレポートです。
O石は3年近く前、入会間もない5月末に行っていますが、当時は雪もなくフラットソールシューズによる登攀でしたので、今回のアイゼン、アックスによる積雪期登攀は気が引き締まります。
8日、始発のロープウェイで一気に標高2612mの千畳敷まで。(いつも思いますが文明の利器は素晴らしい!) 3日から6日にかけて60センチほどの降雪があり、カールにトレースはありません。先行のスノーシュー組が数名いましたが、乗越近くになると傾斜も強くなり、雪も厚いのでシューでは難儀して進みません。アイゼンツボ足の我々には御利益にもならないので、先頭に出て空荷ラッセルで乗越までトレースを付けました。少しは後続の皆さんのお役に立てたようです。
たどり着けば大快晴の南アルプスと富士山が素晴らしく目に飛び込んできました。
早速、宝剣小屋の軒下をお借りしてテントを設営し、明日の登攀に備えて下見に出発。
先ほど来たカールを下降し、間もなく右にトラバース。
雪崩のリスクが比較的高い状況なので慎重にトレースをつけて進みます。
本来の取付点よりもやや中央ルンゼ寄りの雪稜を直登し、中間バンドに到着。
Ⅳ級コース側の1ピッチをF見により試登、途中にランニングをとりロワーダウン、さらにFIXロープを張って明日の下ごしらえをして帰還。今日はここまで。
テントに戻って標高2700mの贅沢な宴を経て静かな夜の眠りにつく。
9日 快晴、6:00出発、6:45登攀開始。
1ピッチ目U山リード。
草混じり、雪の乗ったベルグラ混じりの岩に丁寧にアックスを充てて逆くの字コースを進みます。立ち木でビレイ。30m
2ピッチ目U山リード。
5mほど進むと本来のビレイ点であろうハーケンが3本撃ち込まれた岩の割れ目をすり抜け右上。ホールド、スタンスとも貧弱な立った岩を、残置スリングを借りながらA0で通過。さらにスリングで足場を作ってA1交えて乗り越す。アイゼン、アックスを慎重に、さながらドライツーリングのように充てながら一気に凹角下までロープを伸ばす。40m。全体を通してこのピッチが自分にとっては核心だったように思う。U山さんの登攀技術に助けられたピッチだった。
3ピッチ目、U山リード。
早速凹角を2機のアブミA1で離陸。左に回り込みピナクル下のオケラクラック下でビレイ。20m。
4ピッチ目、O石リード。
20mほどのオケラクラックから始まる気の抜けないピッチ。
先回は気持ちよく決まったフットジャムはアイゼンでは勝手が全く違います。アイゼン付きの靴が嵌まりそうな巾のクラックを見つけながら慎重に乗りこみ、クラックに詰まった雪を穿りながら4番、3番とキャメロットをこまめにセット、幸いクラック奥の岩にアックスがかかるのでハンドジャミングなしで進むとベルグラ状態の一枚岩に行く手を阻まれる。
氷を落としてもアックスの掛かりそうなポイントがないので、傾斜はきついが草付きの左ルートを登り中央稜左フランケルートとの合流点でビレイ。30m。
氷のついた花崗岩は厳しいです。
5ピッチ目、O石リード。
出だしが嫌らしい岩稜を30mほど進むと少し寝た雪稜が現れ、さらに進むとリッジに出るも完全に雪に埋もれてビレイできそうなポイントはない。
仕方ないのでリッジが水平に変わるポイントに狙い定めて雪を40センチほど掘るとしっかりした岩が現れたが全く支点になりそうな凹凸がない。僅かなリスを見つけ出してハーケンを1枚撃ち込み、アックスを埋めてビレイを構築してフォローを上がた。ずいぶん時間を使ってしまった(反省)。40m+。
この先1ピッチ30mほどダラダラと稜線歩いて山頂のつもりが、10mほどで宝剣のお立ち台岩が現れたので、先ほどのピッチはずいぶんロープを伸ばしていたのだと後で気づいた。
最後の10mはF見のリード歩行で12:00登攀終了。
山頂で記念撮影して鎖場を下降。
テントに戻りランチを済ませて撤収。
千畳敷を下降して14:55の満員のロープウェイに乗せてもらえず15:15の臨時ロープウェイでしらび平駅に戻りました。
先回はフラットソールシューズで雪のない初夏のようなクライミングを楽しんだ際は、次回はアイゼン、アックスによるアルパインスタイルでチャレンジしたいと思いましたが、今回その想いが叶いました。
中央アルプス宝剣岳東面壁中央稜。
またとない絶好の天候と良き仲間に恵まれ、手応えのある登攀を楽しめました。
ありがとうございました。
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