その人はボクの足相をみて言った。あなたは子供の頃の<恐怖心>が未だに心身に残っているようです。
今朝早くボクとニコルは電車に乗って本に紹介されていたゲリサー(癒し人)を訪ねた。益々悪くなる皮膚病がなんとかなるものなら、とニコルが調べて連絡をとってくれたのだ。火傷や湿疹のとき、病院でもこれらのゲリサーを紹介すこともある・・と言うくらいここ西瑞では珍しい存在ではないらしい。ボクは好奇心と痒さのあまり2,3回夜中に起きるこの状態が少しでも良くなるなら・・・とさほど期待せずに行くことにした。
ローザンヌから電車を乗り換えて約1時間、ぽっんと一軒家のように建っている田舎駅で待ち合わせ,ゲリサーの女性が車で迎えに来てくれた。45才前後の金髪女性,フランス語に少しなまりがあるから出身はスイスドイツ語圏の人のようだ。
氏名,年齢,病歴、出身地、どういういきさつでスイスに来たか,などの質問をしたあとボクの足の裏を触りならが<恐怖心>の話がでた。心当たりがあるか?と聞くから,無い・・と答えたが、物心のつく以前の赤ん坊の時の話まで遡れば,ボクは生まれてすぐ母が体調を崩してボクの面倒をみることが出来ず、7軒目の里親に落ち着くまでは,たらい回しにされたらしいので、おそらく赤ん坊の自分としては<恐怖心>を抱くほどの心境ではあったと思う・・・。が,果たしてそのことであろうか?それが今になってボクの体に湿疹となってあらわれたのだろうか?
その後彼女はボクの体に気を送り込んでくれた。こちらでは気という言葉をつかわないが、手をかざして気を送るのは気功法と同じようなものと思う。
必殺人間観察人のニコルは終始その様子を見ていたが,彼女はこのゲリサーに好感を持ったようで、いつもの辛口批評は影をひそめ,成り行きを楽観することにしたようだ。週一回電話連絡をして遠隔気送を行ってもらう。
これには料金を払ったが,それの有る無しに関わらず,人が親身に他人の病を少しでも癒そうと気を配ってくれる行為にはやはり感謝の念が自然と起きたが、それが病人にとってはより重要なことなのかも知れない。
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