指南書

本屋を覗くのは好きです。
家電量販店や文房雑貨屋も好きですけどね
本屋で何気なく手にした本、何気なく開いたページに、
人生の指南を見つける事もあります。
その時はそんな大袈裟にとらえなくても、
そこで目にした言葉で少し意識が変わり、
苦しい現状から抜け出し、
大きく方向転換される事がありました。
そんな事を何度か経験すると、
これは目にする事が決まっていたのでは？
なんて思ったりもします。
それは本だけでなく出会う人も同じ、
嫌な目にあって人間不信になった時でも、
本当に意識を変えてくれるような出会いはある。
よく「どうしてもっと早く出会わなかったのだろう！」と
そんなセリフを聞く事があるけれど、
きっと早く出会っていたとしたら、
そんな風に思える出会いではないのかもしれません。
今がこうだから心に響く言葉も、
違った感情の中にいればただの活字です。

私の意識を変えた言葉は、

「福の神を騙すつもりで笑え」でした。

人も生活も何もかも嫌で嫌で嫌で嫌でたまらなかった時、
何気なく手にした本で目にした言葉です。
仏頂面で眉間にしわをよせていると、
貧乏神が喜んで寄ってくる。
貧乏神は心が貧しい人間が大好きだからだ。
福の神はじつは豊かな人間にしか寄りつかない。
豊かな人間はいつでもニコニコしている。
たとえ貧しくても笑っていた方がいい。
笑っていれば福の神は騙されて寄ってくる。
福の神が居着いてしまえばこっちのものだ。ってな内容でした。
仕事柄、営業スマイルはお手のものだったので、
そんなもんかといつもヘラヘラ笑う事にしました。
ヘラヘラしてると何となく自分も楽しくなってきて、
なんか悩んでる事が馬鹿らしくなってきました。
すると本当に自然になんですけど、
縛られてた人間関係や不本意な仕事から抜け出せたのです。
もちろんその時はめちゃくちゃ悩んで苦しむけど、
いつでも誰かの言葉や励ましで心が救われます。
ついこの間も辞めた仕事の事を気にかけていたら、
「人がいない時に頑張ったんだから。」と言われて、
あ～そうだよねぇと肩の荷が降ろせました。
もしもあのまま仏頂面で時を過ごしていたら、
こんなふうに励ましてくれる人もいなかったんだろうな。
なんて考えると、
あの日手にした本は人生の指南書だったんでしょうね。
一つの言葉で生き方や環境ががらりと変わる。
だから本屋さんが好きなのかもしれません。