広島市中区元町にある日本銀行広島支店の外構を見てアッと驚きました。多分、この外構(花壇の石積み)に使用しているのは広島県呉市倉橋島町納地区で産出される「議院石」ではなかろうかと思いました。カリ長石が美しい赤色の花崗岩で、ここで使われているものは、各石のサイズが大きいのが特色です。
議院石は、広島市街地でも他の多くのビルの外構の石積みにも使われているけど、各石のサイズが、こんなに大きいのはあまりない。
個々の石のサイズが小さければ、木材で言うなら節に当たるような部分をカットして使えるけど、サイズが大きいとそれが中々難しいので、アバタや節のような部分を除去しないでそのまま使っている。そこがとても面白い。
深成岩である花崗岩は、マグマが地下のマグマ溜りなどで、ゆっくり冷えて固結した岩石ですが、マグマがある程度固結した段階で、固結末期のマグマがすでに固結した部分の断裂面に岩脈状に貫入した状況が認められます。長石や石英などの無色鉱物からなり、全体として白い色の細粒花崗岩(アプライト)であろうと思われます。
また、石によっては、ペグマタイトのような脈もあります。
アプライトやペグマタイトの脈の縁には、黒い粒々が多く見られますが、ひょっとしてこれは液相濃集元素(不適合元素)ではないか。固結するときにイオン半径やイオン価数が大きいために結晶中に入りにくくマグマ中に残りやすい元素、すなわちレアメタル鉱物じゃないかなと思いました。
また、木材で言うならば節、すなわち暗色包有岩(比較的細粒の有色鉱物に富んだ丸みを帯びた岩片)もはっきり認められました。
(今回スマホで撮影したので、若干細部がわかりにくくてごめんなさい。)
石材としては従来、欠点となる箇所がないのがベターとされてきましたが、石が好きな私達には、日銀広島支店の外構がとても楽しい石積みに見えます。どうか今後建材には、のっぺりした石ばかり使わないで、このような岩石生成の過程がわかる面白い石をどんどん使っていただきたい。