猫の名はタロウ。
7才雄。
2002年に書いた詩があります。
タロウ
家の一人息子
三月二十六日
三才になった
やって来た日は
手のひらに乗る
あかんぼ子猫
高知の日曜市で
貰ってください
と言われて
一緒に暮らそう
という気になって
京都まで
車に乗って
途中 祖谷(いや)の谷
を歩いたり
剣山に登ったり
道草食いながら
渡った瀬戸大橋
七日間一緒に
肩に乗ったり
頭に乗ったり
爪をたてたり
旅をして
やたらと小便
を たれる子猫
家の玄関を入って
廊下を歩くと
その頼りない
よちよち歩きで
動物嫌いの
家の奥さんを
たちまち魅了
マダムキラーは
天性の才能
以来 奥さんは
すっかり夢中
トムとジェリー
外国でトムならば
日本では 由緒
正しきこの名前
タローならまし
日本びいきの
戸主の断定
名前はタロー
ケガしたり
ちょっと病気になったり
したけれど
おおむね元気で
おおあばれ
趣味か特技か
障子はボロボロ
そして一年
病気の戸主は
聴神経腫瘍
手術で入院
青春期を迎えて
意気盛んなタロー殿
いつものように
障子を破り
「家の中はオレの縄張り
隅からスミまで
まぁきんぐ」
退院した戸主は
致しかたなしと
武田動物病院へ
「キョセイ」
どこでもオシッコ
の特技をひとつ
失ってしまい
子猫のように
なってしまった
タローくん
尾っぽを立てて
向こうに歩いて行く
手術前のうしろ姿
おおきな金タマ
白いからシロタマ
プリプリたのもしく
かっこよかった!
今はしぼんで
慎ましく
そしてまた一年
半規管を失った戸主は
平衡感覚が乱れて
歩くとなるとあっちへふらふら
こっちへゆらゆら
リハビリ疲れで
部屋にあぐら
つつましくなった
タローとふたり
二階の窓から
世間を眺める
タローはすっかり
開いたとみえる
悟り。
日がな窓辺で
居眠りしながら
時折り薄目をあけて
眺めているのは
行雲飛鳥か
タローびいきの奥さんは
近所のスーパーへ
買い物にゆく
2002・5・26
7才雄。
2002年に書いた詩があります。
タロウ
家の一人息子
三月二十六日
三才になった
やって来た日は
手のひらに乗る
あかんぼ子猫
高知の日曜市で
貰ってください
と言われて
一緒に暮らそう
という気になって
京都まで
車に乗って
途中 祖谷(いや)の谷
を歩いたり
剣山に登ったり
道草食いながら
渡った瀬戸大橋
七日間一緒に
肩に乗ったり
頭に乗ったり
爪をたてたり
旅をして
やたらと小便
を たれる子猫
家の玄関を入って
廊下を歩くと
その頼りない
よちよち歩きで
動物嫌いの
家の奥さんを
たちまち魅了
マダムキラーは
天性の才能
以来 奥さんは
すっかり夢中
トムとジェリー
外国でトムならば
日本では 由緒
正しきこの名前
タローならまし
日本びいきの
戸主の断定
名前はタロー
ケガしたり
ちょっと病気になったり
したけれど
おおむね元気で
おおあばれ
趣味か特技か
障子はボロボロ
そして一年
病気の戸主は
聴神経腫瘍
手術で入院
青春期を迎えて
意気盛んなタロー殿
いつものように
障子を破り
「家の中はオレの縄張り
隅からスミまで
まぁきんぐ」
退院した戸主は
致しかたなしと
武田動物病院へ
「キョセイ」
どこでもオシッコ
の特技をひとつ
失ってしまい
子猫のように
なってしまった
タローくん
尾っぽを立てて
向こうに歩いて行く
手術前のうしろ姿
おおきな金タマ
白いからシロタマ
プリプリたのもしく
かっこよかった!
今はしぼんで
慎ましく
そしてまた一年
半規管を失った戸主は
平衡感覚が乱れて
歩くとなるとあっちへふらふら
こっちへゆらゆら
リハビリ疲れで
部屋にあぐら
つつましくなった
タローとふたり
二階の窓から
世間を眺める
タローはすっかり
開いたとみえる
悟り。
日がな窓辺で
居眠りしながら
時折り薄目をあけて
眺めているのは
行雲飛鳥か
タローびいきの奥さんは
近所のスーパーへ
買い物にゆく
2002・5・26