よろず戯言

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ツレがうつになりまして。

2011-10-26 23:54:51 | 映画

先週の休みに映画を観に行った。

宮崎あおい※1堺雅人 主演の、“ツレがうつになりまして。

 

Photo

 

女性漫画家、細川貂々(てんてん)氏のノンフィクション・コミックエッセイが原作。

“ダーリンは外国人”,“毎日かあさん”など、

最近、この手のものの映画化が流行っているようだが、

個人的にそういうものには、あまり興味を抱かない。

が、題材が「うつ病」となると話は別。

がぜん「観ないといけない!」という衝動に駆られた。

 

公開前のチラシや、予告編の映像を見ると、

“うつ病”という、重苦しく不幸な題材を、真剣に且つコミカルに描いてるようで、

これはやはり観るべきだと思い立ち、

休みだが早起きして、この日の朝一の上映に間に合うように家を出た。

  

劇場に着くと、朝一の上映にも関わらず、チケットカウンターは長蛇の列。

それもそのはず、この日は水曜日でレディースデー。

女性は毎週水曜日、1,000円で映画を観ることができるという特待デー。

東宝シネマズめ! なぜメンズデーを設けない!?

しかもチケットを購入する際、支払いのクレジットカードを間違えたため、

1,800円、まるごと支払うハメに・・・。

イオンカードやセゾンカードだと、200円割引だったのに・・・。 

 

しかも後部の席がまったく空いてない!

仕方なく、前から二列目の中央辺りの席を取った。

後部でも転々と空いていたようだが、

観客はほとんど女性だろうから、隣り合わせは遠慮した。

 

スクリーンに入ると、やはりほとんど女性。

奥さんや彼女に付き合わされてか、パッと見渡して2・3人だけ男性の姿が確認できた。

だが野郎ひとりで観に来ているのは、やはり自分だけのようだった。

レディースデーということと、この映画は男性向けのタイトルではないのかもしれない。

まあ、そんなことは気にせず鑑賞に臨む。

 

公開前映画の予告編が流れ、

ラストに「撮影禁止」「おしゃべり禁止」「携帯はOFF」など、

劇場でのマナーを訴える映像が流れる。

すぐ後ろの席に60過ぎくらいのババア二人組が居て、

うちひとりが、その映像を観ながら、

「アタシ携帯の切り方知らんっちゃんねー。」とかつぶやいていた。

「おいおい、勘弁してくれよ・・・。」

一抹の不安を抱えていよいよ映画が始まる。

 

01

 

売れない女性漫画家、高崎晴子※2

外資系のソフトウェア会社のサポートセンターでバリバリ働く、夫の幹男。

朝、晴子が眠っているときに、幹男は起床し、

自分でお昼の弁当を作り、妻の朝ご飯も作り、ペットのイグアナ(イグ)にエサをあげ、

曜日ごとに決まったネクタイを締め、決まった種類のチーズをおかずに入れる。

超几帳面な幹男だが、最近 元気なく様子がおかしい。

 

ギュウギュウ詰めの電車に乗り出社。

職場には毎日のようにクレームの電話。

その処理をするのが仕事の幹男。

リストラで人員が減り、彼の仕事の負担は増大していた。

社長宛に商品と幹男の対応への不満の手紙をよこしたあげく、

幹男を指名してしょっちゅう電話をしてくるしつこいクレーマーの存在も。

 

02

 

そんな喧噪のなか、疲労が蓄積し体の不調に気付きながらも、

持ち前の責任感と几帳面さで、毎日出勤し仕事をする。

だが心の病は、日増しに彼を蝕んでいく。

食欲がなくなり、ひどい倦怠感に苛まれ、ついには「死にたい・・・。」と。

 

幹男の異常に気付き、ただ事ではないと察した晴子。

医者に行くように勧める。

診断の結果、「心因性のうつ病」。

そして晴子は決心する。

ストレスの原因が会社にあるならば、これ以上仕事をやっていてはいけない!

晴子は強引に幹男を退職させて、これまで のほほんと養ってもらっていたが、

今度は自分が仕事をして彼を養い、一緒にうつを治す!

「ツレがうつになりまして。仕事をください!!」

連載を打ち切りされたばかりの編集部へ出向き、編集者にそう叫ぶ。

 

Photo_2

 

晴子の幹男に対する愛と、両親の協力、そして仕事をくれた編集者。

「がんばらないぞ!」

それをモットーに、二人三脚でうつ病を克服しようとする。

「がんばる」「がんばれ」はうつ病にとって禁句なのだ。

 

幹男のうつ病が快方に向かい、落ち着きだした頃、

晴子は、自身が書き留めていた闘病の記録と、

幹男自身が主治医に勧められてしたためていた日記。

これを元に、コミック・エッセイを書き上げる。

 

05

 

なんといっても、堺雅人の巧さに感服した。

実際に、うつの症状の方を観察したのか、原作者から指導を受けたのか、

本当のうつ病の方のとる表情、行動、言動・・・驚くほどリアルに演じていた。

携帯電話にビクつくシーンがあるが、自分はまったく同じことを目の当たりにした。

 

宮崎あおいと堺雅人のコンビ。

何年か前の大河ドラマ、“篤姫”でも夫婦役をしていた。

もうこの二人、お似合いの夫婦だ。

某写真週刊誌で、宮崎あおい夫婦の別居がスクープされていたが、

もうあんなお騒がせDQN夫と別れて、堺雅人と本当の夫婦になってみたら・・・と思ったり。

堺雅人って独身だっけか?

 

03

 

しかし・・・・レディースデーともなると、ふだん映画館に来ないような、

マナーをわきまえていないオバハンらがこぞって観に来ている。

上映中、カターン! カラカラーーーン!!と、そこまで腕力がないのか、

ポップコーンやホットドッグなどのトレーを落っことす音があちこちから聞こえてくる。

 

携帯電話の電源の切り方を知らない、すぐ後ろのババア・・・。

劇中、ピリリリ・・・と何度も鳴る。

バッグの中で鳴っているのを、わざわざバッグを開けて携帯電話を取り出し、

隣のババアと一緒にあたふたしている。

さっさと切れや!! 

切り方解らんのなら、劇場内に持ち込むなや!

・・・まったく。

 

04

 

映画では、夫婦とその家族が支え合い協力して、うつ病を克服していっている。

だが周りが早い段階でうつ病を理解できた、この映画のストーリーは希な例。

多くは理解できず、さらに悪化させてしまい、最悪な結果になることも。

周りに“うつ”の人が居る、若しくは自身がそうである人には、ぜひこの映画を観てもらいたい。

 

劇中、何度も涙を流した。

女性だらけの館内で、観客のなか最前列でスクリーンの光を浴びながら、

いい歳した男が涙を流す。

過去のいろんなことがフラッシュバックしてしまった・・・。

 

 

※1・・・宮崎あおいの「崎」は、“大”の部分が“立”の字。

※2・・・高崎の「高」は、「口」ではなく“ハシゴ高”。

 

 

※ここから先は映画とは関係なく、冗長的な自分の過去談なので、

  読みたいひとのみ読まれてください。

 

 

・・・過去のいろんなことがフラッシュバックしてきた。

 

離婚した元妻・・・

自分の二番目の弟・・・

妻が去った後に出逢った、女の子・・・

そして今現在、うちの職場に来ている男性・・・

 

皆、症状や細かな病名が異なるが、“うつ病”だ。

元妻のうつ病を理解することができなかった。

ただ、やる気がなく、ネガティブな怠け者なんだと決めつけていた。

だから彼女の症状を悪化させ、自殺未遂にまで追い込んでしまった。

 

妻が自分の元を去った後、うつ病に関する書籍を買い漁って勉強した。

そのおかげで、色々な知識が付いた。

他人のうつを見抜くこともできるようになった。

 

福岡へ戻って、再就職した。

そこで出逢った同僚の5つ歳下の女の子。

同じ部署でパートナーを組んで仲良くなった。 

毎日ひどいサービス残業、夜は一緒に食事に行きカラオケに行くようになった。

 

職場ではクールでバリバリ仕事をこなす彼女が、

プライベートでは、少女のようになってしまう。

時に泣きながら彼氏との不仲や複雑な家庭事情などを相談してきた。

自分はあることに気付き、彼女に訊いてみた。

彼女は泣きながら袖を捲って見せてくれた、両腕に無数の切り傷。

リストカットの痕だ・・・。

新しいものは絆創膏が貼られ血が滲んでいた。

 

数年前、熊本に居る弟から頻繁に電話がかかってきていた。

「眠れない」「幻聴が聞こえる」「幽霊ばかり見える」「金縛りに遭う」そんな悩みの電話。

自衛官をやっていた弟、幼少の頃から神経質で繊細な性格だった。

そんな弟が、よくもまあこんな過酷な仕事に就けたものだと感心していた。

だが、その悩みの症状のすべてが、心が崩壊する兆候だったのだ。

父親の期待に応えんと、望んでもいない仕事でずっと我慢してきたために発症した。

 

症状から思い当たった病名がナルコレプシー。

すぐに医者に行くように勧めた。

診断結果はやはりそれだった。

うつ病とは異なるが、うつ病を併発しかねない重い心の病。

 

そして今、勤めている会社では、県からの要請で、

そのような病気を患い、社会復帰が困難な人達を受け容れ、軽作業をしてもらっている。

完治して社会復帰を果たしたひと、悪化して去っていったひと、

これまで10人近い人達と仕事を共にした。

皆、無表情で無感情で、そして気力も生気もない。

食欲がないため、昼食はとらずに、ただ喫煙しているのみ。

 

現代の日本のストレス社会では15人に一人はうつ病だと言われている。

予備軍を含めれば、4人にひとりとも言われている。

自分の周りには、まだ他にも“うつ”と疑わしき人達が居る。

ネットでコミュニケーションしている人たちの中にも、

その言動などから、疑わしいどころか、完全にうつだと思われる人も数人居られるし、

そして自分も、たぶん“うつ”だっただろうと思われる時期がある。

 

決して他人事ではない。

うつ病の入門”として、この映画をみんなに勧めたい。

 

Photo_3

もっとも泣いたシーンがここ。

こんな誓いもすっかり忘れ、苦しんでいた妻を冷たくあしらってしまった・・・。

到底償うことのできない、これから一生、自分が背負い続ける罪だ。

 

 


4 コメント

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れいなさん、こんばんは。 ()
2011-10-31 01:25:12
れいなさん、こんばんは。
“メンヘラ”ってそういう意味だったんですね。
なんとなく“メンタル”が含まれているのは判っていたのですが。
 
そうですね、親友や仲の良い同僚なども居らずに孤立した状態で、
さらには独り暮らしなんかでなっちゃうと非常にマズイですね。
こうなると、周りの誰かが、いち早く気付いてサポートしないといけないのですが、
れいなさんのブログにもあった、中国の幼女ひき逃げ映像みたく、
人間関係が希薄になって、他人に関知しないような世知辛い世の中じゃ、
それは望むべくもなく・・・こんなだからまた患者も増加していくのかもしれません。
 
ダブルチョコパフェ、どうも終わったっぽいです。
昨日から幟と入口前の幕が違う商品のものに変わっていました。
「コーンフレーク要りません」か・・・勇気なくて言えないなあ。
ヨーグルトテイストのものとか、コーンフレークあった方が美味しいですけどね。
 
返信する
前に私の記事の「告白」という作品の「ニート」に... (れいな)
2011-10-30 16:40:37
前に私の記事の「告白」という作品の「ニート」についてのバッサリ斬るお話に、開口一番、
そうじゃない。って強い信念と共におっしゃっていた詳細がようやくわかりました。
大変な体験をなさっていたのですね(TДT)
最近メンヘラ(メンタルヘルスはしご)ってよく耳にしますが、あれこそまあニセあるいはまだ前段階なんでしょうね。
ホンモノのMajor Depressionに罹っている人は、受診に行こうという気力さえ無いのでしょう。
特にその様な配偶者とか家族とか親友などが居ない場合、かなりヤバイですよね(´>д<`)
 
ベルギーチョコパフェ、まだ食べていないのですが、私もたぶんそのブラウニー減点対象になると思います。 そんなの入れなくていいから小さいサイズで充分と思いますねー。
コーンじゃなくてカップでソフトクリームとか頼む時、私は「コーンフレーク要りません」って予め言うようにしています〈〃^∀^〃)ェヘヘ
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Unknown ()
2011-10-30 02:36:02
空缶さんも観られたんですね、それにしても“ツレうつ”なんて略されているんですね。
“もしドラ”みたいな感じですね。
 
その一年前の映画、知りませんでした。
そういや昨年はあまり映画館に足運んでいなかったかも。
内容が気になるので、今度チェックして観てみます。
 
うつ病は難しいです。
周りが“うつ”を理解して、あからさまに気を遣ってしまっても、
本人にとってそれが苦痛になり、病状が悪化することも多々あります。
ふだんどおりに接しつつ、焦燥感や悲壮感を抱かせないような対応が必要です。
仕事や家庭・家族、将来、夢、人生、これらの話題は好ましくなく、
なんでもない些細な会話の方が、気を落ち着かせたり、紛らわせたりすることができます。
 
で、特効薬は、恋人(伴侶)の理解と手助けだと自分で勝手に結論付けています。
これが得られなかった場合、最悪の結果になることも少なくありません。
劇中では、ツレが一人で通院していましたが、本当は夫婦で行って、
主治医からそれぞれアドバイスを受ける方が好ましいと思います。 
 
たぶん下戸ではないと思いますが・・・まず外で飲みませんし、
誰かと飲むなんてこともしないんですよ、夜中にひとり酒。
アル中の親父の反面教師ですね。
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最近コミックエッセイはやってますよねー (あきかん)
2011-10-28 23:27:12
最近コミックエッセイはやってますよねー
読みやすいからかな。

ツレうつよかったですね!
題材が気になったのと、宮崎あおいと堺雅人がすきだったので観にいきました(´∀`)
演技のことはよくわからないのですが
堺雅人の演技はリアルな感じで、うん、なんかこういう人いるいる、って感じでした。

一年前にあおいちゃん主演の映画を見に行ったときは
社内でのセクハラが原因で心の病になってニートになったあおいちゃんが
末期がんで余命残りわずかの母親(大竹しのぶさん)のおかげで
一緒に病気と付き合いながら一歩前に進む って感じの映画だったんで
今回は支える側か~とちょっと感慨深く(?)なりました。

映画観ながらいろいろ考えましたわー。
身近に深刻なうつ病の人がいたら、気付けるのかな、とか、どう接するんだろう、とか。
自分も結構頑固なところがあるので、追い詰めてしまうような気がします。
正論、は必ず正しいわけじゃないから難しいところですよね。
自分も相手も追い詰めてしまう気がします。
最近、特に、自分自身の課題だなぁ(´・ω・`)って思います。
難しい\(^o^)/

色んな人を見てきはったんですね~
ぜひお酒のみながらお話を聞いてみたいです・w・
あ、でも武さん下戸でしたっけ・・・(´ω`)
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