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決算!忠臣蔵

2021-02-11 23:07:21 | 映画

 

昨年の1月、およそ一年前に観た映画、

堤真一,岡村隆史 主演の時代劇コメディ、"決算!忠臣蔵"。

監督は、"殿、利息でござる!"の中村義洋氏。

原作は山本博文氏の著書、"「忠臣蔵」の決算書"。

キャッチコピーは、"討ち入り、やめとこか!"。

 

 

日本の冬(年末)の風物詩、忠臣蔵。

大石内蔵助(おおいしくらのすけ)を中心とした、赤穂の浪士47士が、

主君の無念を晴らすため、仇討を果たすという物語。

江戸時代に実際に起こった、元禄赤穂事件を元にした大人気の物語。

過去、幾度となくこの物語が映像化され放映されたが、

その最新作が、これまでとは異なる視点で忠臣蔵を描いて話題となった。

 

武器防具はもちろん、移動の交通費に宿泊費、

江戸に潜伏するにも、家賃に食費と日々の生活費も必要で、

討ち入りするには何かとお金がかかる!

忠臣蔵の物語、吉良邸討ち入りにかかる財政面にスポットを当て、

これまでフューチャーされることのなかった、

四十七士とは別の裏方の人物も取りあげられ、それを面白おかしく描いた作品。

 

個人的にも大好きな忠臣蔵のお話。

しかも好きな俳優、堤真一が主演ときた。

さらには、これまた大好きな芸人、ナイナイ岡村も主演ときた。

監督の過去作品、殿、利息でござる!もそこそこ楽しめたし、

この、決算!忠臣蔵、観に行かない理由なんてなかった。

忠臣蔵らしく、公開は年末前の11月だったのだが、観たのは年が明けてからだった。

 

 

 

赤穂藩、第三代藩主、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ:阿部サダヲ)が、

江戸城 松ノ大廊下で起こした刀傷事件。

将軍、徳川綱吉の命により、内匠頭は即日切腹、赤穂藩はお取り潰しとなる。

赤穂藩では、大評定が開かれ、藩士たちの意見が割れて対立していた。

幕府の処分に素直に応じて、城を明け渡すと主張する者。

籠城して全員切腹して殉死し、抵抗の意を示すべきとする者。

内匠頭の無念を晴らすべく、江戸へ行き、なんの咎めもなかった、

仇である吉良上野介(きらこうずけのすけ)を討ち取るべき!と主張する者。

 

藩政を仕切るべき、筆頭家老の大石内蔵助(堤真一)。

真っ二つに割れた意見のなかで大きく悩むも、

お家再興の希望を持ち、とりあえずは幕府の処分に応じることに。

とはいえ、大勢の藩士たちが突如として路頭に迷うことになり、

厳しい藩の財政からその割賦金(退職金)を工面しなければならず、

貸付金の回収などして資金調達など、大量の残務整理に追われることに。

 

残務処理のさなか、お家再興は叶わず。

けっきょく内蔵助は討ち入りを決める。

藩の財政をあらためて見なおし、割賦金の調達が終わり、

討ち入りにかかる費用を工面する。

ここで大きな資金源となったのが、

内匠頭の正室、搖泉院(ようぜんいん:石原さとみ)の化粧料(嫁入り持参金)だった。

それを討ち入り資金として拝借し、どんどん浪費してゆく。

 

 

勘定方(財務担当)で内蔵助の幼馴染みだった矢頭長助(岡村隆史)が、

内蔵助を裏で支援すべく、僅かな資金をやり繰りしてやるものの、

内蔵助のみならず、他の藩士達の金の使い方も粗く、とうとう底をつき始める資金。

リストラのために討ち入り藩士を絞り込み、宿泊費や家賃を削るため討ち入りする日時を前倒し。

武器や装束も必要最低限に、そばに天ぷらはのっけないように・・・。

そうして、ようやっと討ち入りにこじ付けるのだが、討ち入りを妨害しようとする者が居り、

内蔵助の命が狙われる・・・!

 

 

面白かった。

だが、つまんなかった。

ひとつの時代劇コメディとして観ればまあまあ面白かったけれど、

これが忠臣蔵として観ると、まるでつまんなかった。

前置きが長くて冗長で、けっきょくだらだらとしたそのプロセスだけで、

最後まで物語の結びが描かれなかったみたいな。

 

忠臣蔵なんて誰もが知っているから、討ち入りシーンも切腹シーンもなくてもいい。

そもそもこの映画は、討ち入りにかかる費用と、

それをやり繰りするエピソードを主体にした物語であり、

ちゃんとした忠臣蔵を観たけりゃ、他の作品を観なさいってことなんだろう。

・・・が、紆余曲折してようやっと討ち入りにこじ付けて、

あそこまで引っ張っておきながら、討ち入りシーンがないのはやっぱり拍子抜けしてしまう。

 

 

登場人物が無駄に多い。

この監督の癖なのかもしれないが、個性豊かなキャラを無数に登場させる。

殿、利息でござる!でもそうだったが、メインキャラだけでも10数人を超える。

この決算!忠臣蔵はそれをはるかに超える人数が登場し、

それぞれが主演のふたりに何らかの形で絡んで、たびたび登場するもんだから、軽く混乱する。

観る側がスムーズに鑑賞でき、物語のテンポも良くするなら、

登場人物をもっと絞るべきだし、大半はチョイ役にしてもいいはず。

 

その登場人物が、吉本絡みなのも気になった。

俳優さんに混ざって、多くの吉本芸人が登場する。

主演の岡村隆史はいいとして、西川きよしや、,村上ショージ,板尾創路ら他数名も登場。

客ウケを狙ったキャスティングかもしれないが、どうしても吉本が大きく絡んでいるとしか思えない。

ここまでゴリゴリに参加させちゃうと、芸人好きでも辟易してしまうだろう。

 

 

俳優陣が豪華過ぎる。

笹野高史,西村まさ彦,大地康夫,近藤芳正,寺脇康文,滝藤賢一,

荒川良々,妻夫木聡に濱田岳、女優さんでは、石原さとみに、

そして、昨年惜しくも他界してしまった、竹内結子さん。

三谷幸喜監督作品並に豪華なキャスティング。

俳優群像劇が好きなひとならば、登場人物が雑多でも楽しめるかもしれない。

ただ、芸人のみならず、ジャニタレやアイドルなんかも含まれているので、そこは注意が必要。

それぞれ悪い演技ではなかったけれどね。

 

堤真一はおもしろい。

濱田岳とのやり取りは笑えるし、まず緊張感がまったくなくて、

本当に大石内蔵助なのかと、最後まで気になった。

まあ、周りを油断させるため、わざと酒と遊女遊びに耽っていたという逸話があるくらいなので、

実際、これくらいへらへらして頼りないくらいのキャラクターが合っているのかもしれない。

 

逆に、芸人である岡村隆史が、いっさい笑いのない、

堅物で真面目なキャラクターを演じていたのが意外だった。

へらへらした堤真一を厳しくあしらう、女房役といった感じだった。

岡村演じるこのキャラクターは最後までシリアスで、

コメディであるこの作品のなかじゃ違和感があったくらい。

 

 

石原さとみの豪華な和装姿は素敵だった。

このひと、CMなんかでよく観れど、実際、演技を観たのは初めてだったかもしれない。

ぷっくり唇が魅力的なきれいなひとだなあと、あらためて思ったが、

昨年、ついに結婚してしまったんだよなあ。

こうなると、あと残っているのが深キョンと長澤まさみ、ガッキーか。

 

 

大石内蔵助の正室、りく役に、故・竹内結子さん。

いつもながら、強気でしっかりとした女性を凛として演じておられた。

残念ながら、この決算!忠臣蔵が、彼女の遺作となってしまった。

20年ほど前に放送されたドラマ、ランチの女王のときに初めて認識した。

映画、なくもんか!の体当たり演技や、ステキな金縛りの一人二役など、本当に素敵な女優さんだった。

亡くなられたのが残念でならない。

 

それにしても忠臣蔵。

冒頭の文章で、"日本人なら知らないひとは居ない"と書くつもりだった。

だが、昨年末に観た情報番組でやっていたのだが、

最近の調査で、30代以下で忠臣蔵(元禄赤穂事件)を知っているひとはほとんどおらず、

小学生に至っては、兵庫県の子供をのぞき、ほぼ知らなかった。

教科書に取りあげられるような歴史事件でもなく、

自分が子どもの頃は年末恒例だった忠臣蔵のテレビ放送もなく、

なにより若者が時代劇を観なくなってしまったのも大きいようだ。

 

小学生の頃、水戸黄門や暴れん坊将軍、よく観てたけどなあ。

物語をよく理解できなくとも、なんとなく勧善懲悪でラストのチャンバラシーンは熱かった。

うっかり八兵衛のほおばる団子がいつも美味そうだった。

 

 

 



2 コメント

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忠臣蔵の日 (もののはじめのiina)
2021-12-14 11:51:56
師走の風物詩が、忠臣蔵ですょね。^^

きょう12月14日は、47士が討ち入りした「忠臣蔵の日」です。
いろは歌を7文字づつに区切った最後の文字をつなげると「とが なくて しす」と読めると申します・・・❔

それにしても、浅野内匠頭はどうして上野介に斬りつけたのでしょうか❔
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Unknown ()
2021-12-14 17:45:11
iinaさんこんばんは、コメントありがとうございます。
 
むかし、年の瀬になると決まって放送されていたのが、
時代劇の特番、忠臣蔵でしたね。
その風物詩も近年はめっきり失われてしまい寂しい限りです。
 
浅野内匠頭の動機は歴史ミステリーのひとつですね。
吉良に対して積年の恨みがあったとか、
役目の作法や料理を馬鹿にされたとか、
でもそれらものちに脚色された創作エピソードとされていますし、
元々キレやすい癇癪持ちだったとか、
乱心していたとか・・・説は様々。
 
実際のところは謎のままですね。
そのミステリーも含め、忠臣蔵は魅力的なのかもしれません。
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