よろず戯言

テーマのない冗長ブログです。

鬼束ちひろ

2021-11-30 01:24:36 | 音楽

鬼束ちひろ 1st.アルバム “インソムニア”

 

歌手の鬼束ちひろ容疑者を逮捕 救急車を蹴った疑い
 

衝撃のニュースだった。

また鬼束ちひろがやらかした・・・。

以前からたびたび世間を騒がせてきたが、今回は逮捕という最悪の結果となった。

事件の詳しい状況や、本人の動機ははっきりとは判らないけれど、

とりあえず、ファンとしても擁護できそうにない。

 

 

自分が十代後半から二十代前半までに流行った曲。

’90年代中盤~2000年代初頭のJ-POPが好きだ。

ちょうど日本の音楽業界でCD販売の最盛期であったと思うし、

アイポッドが登場するのが2001年で、

まだこの頃は、ダウンロード購入というのも一般的でなかった。

 

いわゆる小室ファミリーを筆頭に、

数々のアーティストが名曲を、名盤を残してくれた。

そのうちのひとり、鬼束ちひろ。

自分が思う、この頃にデビューした三大女性シンガーソングライターのひとり。

椎名林檎,Cocco,そして鬼束ちひろだ。

3人はデビュー当時から不思議なひとたちではあった。

 

奇抜なファッションとPVでの過激なパフォーマンスの椎名林檎。

露骨に性的な曲名に歌詞に、自身のボディを強調する衣裳。

なまめかしい口元のホクロ。

細身なのに豊満な胸。

その谷間にギターのベルトを食い込ませ、

見せつけるかのように激しく歌いじゃくる、ギブス。

 

椎名林檎 - ギブス

 

エロい看護士のコスプレで、スカートのまま足を上げてのアクション。

パンチラなんてお構いなし、ヒールの蹴りでガラスをぶち破る、本能。

果ては自身の所有していたベンツを真っ二つにしてしまった、罪と罰。

彼女の本当の凄いところは、そのビジュアルやパフォーマンスがなくとも、

男だろうが女だろうが関係なく魅了される、その歌声と歌詞にあった。

巻き舌で激しく歌う、だけどなぜか美しくかっこよく聞こえる。

実際、男性ファンより圧倒的に女性ファンの方が多い。

 

椎名林檎 - 本能

 

近年も精力的に活動しており、

音楽の枠を超え、文化人として多方面で活躍されている。

今年開催された東京五輪の式典プランナーとしても名を連ねていた。

けっきょくコロナ禍による五輪の延期によって解散してしまったが、

こういった役に選出されるほど、彼女の才能は評価されていたということだろう。

 

そして、Cocco。

沖縄出身の彼女もまた、彗星のごとくデビューした。

沖縄の女性らしい、しっかりとして伸びやかな声。

何よりも、不思議な歌詞が特徴的だった。

 

自傷行為のような歌詞が際立つ、Rainig。

恋人を残して夢を追う男性を応援するかにみせて、

恋人はもはや待ってはいない、だから・・・

・・・と略奪するかのような歌詞の、強く儚い者たち。

素朴なピアノに乗せた、昔の外国アニメのようなポップでキュートな曲。

なのに実際にはブタを解体して食べてしまうという、My Dear Pig。

 

Cocco - Raining 【VIDEO CLIP SHORT】

 

曲調こそ淡々としたロックであったり、軽快なポップでありながら、

その歌詞はときに残酷であったり、ときに自虐的であったりと、

当時、歌番組じゃない情報番組なんかでも、その歌詞がクローズアップされ、

ふだん到底 J-POPなんて聴きそうにない、

お偉い文化人らが、独自に解説したりしていたのを覚えている。

 

Cocco - 強く儚(はかな)い者たち  【VIDEO CLIP SHORT】

 

当時から不思議ちゃん全開で、

歌番組などでMCが苦笑する場面も多々見られた。

一時期活動停止していたが、今また復帰しているらしい。

最近は、沖縄での海岸清掃活動の模様がテレビで放送されて、

あの当時は理解不能な不思議ちゃんだったけれど、

しっかり大人になったなあと思いながら見ていた。

 

 

そして、鬼束ちひろ。

実は、椎名林檎やCoccoの方が、よっぽど やべー娘という印象だった。

鬼束ちひろも、ライブ中はぜったいに裸足。

スピリチュアルな発言を繰り返してみたりと、一風 変わった娘という印象だった。

だが、彼女より先にデビューしていた、華原朋美や、tohko,篠原ともえ,SUGARSOUL.、

そしてラスボスの川本真琴など、アーティストには他にもやべー娘は多くいて、

それらに比べても鬼束ちひろは可愛いものだった。

椎名林檎,Coccoのふたりにも到底、及ばなかった。

 

鬼束ちひろ - 月光

 

鬼束ちひろの魅力は、なんといっても歌詞。

その切なくもあり、衝動的でもあり、何か強くうったえるような歌詞にあった。

それを、少し低めでなめらかで伸びやかで、まるで童謡を歌っているかのような、

聴いていてとても心地良くなる歌声で力いっぱいに歌いあげる。

透明感のある清楚なルックスと、PVの叙事詩的な雰囲気に たちまち魅了されてしまう。

あれよあれよと人気になり、あの谷村新司にも気に入られ、

山口百恵の名曲、いい日旅立ちをカバーし、当時の年配の方々の人気も得ることに。

 

鬼束ちひろ - 眩暈

 

だが、交通事故を起こしたり、ストーカー被害にあったり、喉にポリープができたり、

同時多発テロによって、発売予定だった曲の歌詞が不適切だと変更を余儀なくされたり、

恋人によるDVによって顔面骨折して休業したり、事務所騒動もあったり、

ブログやSNSでの過激発言で物議を醸して炎上したりと、

公私ともに騒動が絶えなかった。

 

鬼束ちひろ - 流星群

 

そうして、今回の事件。

友人が救急搬送される際、一般人から浴びせられたヤジに逆上したとか、

パニックになってしまったとかなんとか。

だからって、車体がへこむほどまで救急車を蹴ることもなかろうに・・・。

そして最近の彼女の姿を見て驚く。

マリリン・マンソンみたくなってしまっている・・・。

 

 

若い頃、彼女の歌に聴き入った。

傑作アルバム、インソムニアは今でも大切に所有している。

なにか病んでいるのかもしれないが、

どうか今後は、そのどうしようもない怒りというか、

やるせなさというか、そういったものを歌に昇華させて、

また往年の鬼束ちひろを聴かせて欲しい。

そう切に願う、いちファンである・・・。

 

 



コメントを投稿