よろず戯言

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回天大神訓練基地記念公園

2017-01-26 23:57:41 | 旅行・まち歩き

先日の大分日帰りドライブ旅行の続き。

宇佐市を出て、隣の速見郡日出町(ひじまち)へ向かう。

日出町での目的地は2ヶ所。

まずは町の南東部にある深江地区を目指す。

ここにある戦争遺跡、人間魚雷「回天」大神(おおが)訓練基地跡だ。

山口県光市など、日本に4ヶ所あった回天基地のうちのひとつ。

奇しくもついさっき、宇佐市の平和資料館にて、同じく特攻兵器である桜花の模型を見学したばかり。

同じ日に海・空、二種類の特攻兵器を見ることになるとは思いもよらなかった。

 

 

 

大まかな地図を頼りに車を走らせていると・・・。

道沿いに不気味な人工の ほら穴が点々とある。

それ以外にも、古びた格納施設のようなものや、朽ちた木の囲いのようなもの、

よく判らない遺跡を過ぎると、新しくてきれいな整備された駐車場が現れる。

駐車場の先には、黒光りする細長い物体。

ここが、回天大神訓練基地記念公園だ。

 

 

右:回天格納壕跡 回天が格納されていた場所。

左:酸素圧縮ポンプ室跡 回天に搭載する圧縮酸素の製造設備があった場所。

こういった基地の遺構がこの辺り一帯に点在している。 

 

駐車場に車を止めて、さっそく黒光りする細長い物体に歩み寄る。

これが"人間魚雷"と呼ばれた特攻兵器、"回天(かいてん)"の実物大模型。

「天を回(めぐ)らし戦局を逆転する」

そんな思いを込めて、この兵器の発案者によって、"回天"と名付けられた。

こんな愚かな特攻兵器で戦局を逆転だなんて、本気で考えていたのだろうか?

 

 

全長15mくらいあったろうか。

ただでさえ黒光りしているものが、雨に濡れていっそう不気味に光っていた。

 

 

ハッチは鎖と錠前で堅く閉ざされていたが、

コックピット内部まできちんと作り込まれていて、公開されたりもするのだろうか? 

 

回天の中央付近にタラップが設けられていて、それを上ると搭乗口を見ることができる。

だが、ふだんは公開されていないようで、

がっちりと施錠されていて、操縦席のなかを覗くことはできなかった。

まあ、あいにくの雨天だし、屋根も覆いもない雨ざらしの状態で自由に開閉できちゃまずいだろうな。

回天の模型の後ろには、なんだか古いコンクリートの槽がある。

なんだろう?と思って近づいてみる。

転落防止のためか、ぐるっと柵に囲まれていた。

その脇に説明のプレートがあった。

"魚雷調整プール"。

回天をこのコンクリートの槽へ沈め、水漏れのチェックなどを行っていたという。

なるほど、手前にある回天が、丸ごとすっぽり入る大きさだ。

 

魚雷調整プール。

ここに出撃前の回天を沈めて、水漏れチェックを行ったとされる。

 

回天の手前には銅像が二体。

"永遠の風に 青年"と題された、若い兵士と思しき銅像。

その横に、"永遠の風に 母妹"と題された銅像。

回天に搭乗することになった青年兵士と、その母と妹ってことなんだろう。

なんとなく物悲しい雰囲気の漂う銅像。

妹が手にしたツバキの花だけ着色されているのがなんとも・・・。

タイトルの英訳も添えられていた。

"永遠の風に -Etenal Wind"。

森口博子のあの曲、そういう意味だったんだ!

 

  

銅像と記念碑。

設置されて間もないようで、きれいで真新しい。

回天模型含め公園内の展示物や駐車場,設置された柵や芝生など、

とてもきれいで整備されて間もないようだ。

 

記念公園をひととおり見て回り、ちょっと歩いた先の高台にある神社を目指す。

その名も、"回天神社"。

うねった急な坂道を上っていくと、小さな無人の神社が姿を現した。

神社の脇に黒い物体。

ここにも回天の模型がある。

実物の1/3スケールの模型。

その手前には、回天の動力部である魚雷の機関部が展示されている。

回天は"九三式魚雷"という、魚雷の動力部をそのまま流用して製造されたという。

 

 

 

境内の中央には、住吉神社という別の神社。

もともとこの神社は、住吉神社。

その境内を間借りして、訓練基地の本部跡にあった回天神社が移された。

回天神社は、回天で訓練中に殉職した者や、実際に出撃した戦死者のみならず、

開発・製造に携わった技術者や工員の殉職者など、回天に関わった全ての死者を祀っている。

御神器が、操舵機など回天のパーツ3つという、変わった神社でもある。

一般公開はされていないようで、御神器を拝むことはできなかった。

 

 

回天神社と、脇に展示されている1/3スケールの回天模型,九三式魚雷のピストン部。

 

 

住吉神社と手水舎。

 

回天神社の隣にあった社務所のような建物。

その壁にパンフレット類がたくさんあり、

そのなかに、「大神回天隊の歌」という楽譜と歌詞の載った紙切れがあった。

楽譜は読めないので、曲はさっぱり解らない。

ただ、歌詞を読むと、なんともいたたまれない。

国の未来を憂いて自己を犠牲にし、決死の覚悟で挑むような歌。

当時としては当たり前だったのかもしれない。

だけど、やっぱり、どうしても理解できない。

自分は当時もし生きていたら、こんな理不尽なことを受け容れられたのだろうか?

 

国難 誰か救うべき~戦友は微笑今ぞ征く~訪う春を信ずこぞ・・・。

隊員はこの歌で己を鼓舞して覚悟を決めていたのだろうか。

 

さらに、回天神社の社殿脇にボールペンが付いた一冊のノートがあった。

参拝客が自由に書き込める、メッセージノートだった。

パラパラとめくってみたら、色々とメッセージが書かれていた。

ここはひとつ、自分も思ったことを書こうじゃないか。

ついさっき隣の宇佐市で見た、ゼロ戦,桜花。

そして、ここ日出町の人間魚雷・回天。

ひとつひとつ誰かが読むとは思えないけれど、感じたことを書きつづった。

 

 

住吉神社の屋根に、サル,コマイヌ(シーサー?),カメさんが居た。

 

境内は高台にあるので、別府湾を見渡すことができる。

手前には養魚場。

日出町なので城下かれいで有名なマコガレイか?

対岸には大分市の臨海工業地帯が見える。

北九州工業地帯と共に、太平洋ベルトに属する日本有数のコンビナートだ。

手前西側には日本一の温泉街、別府市が見える。

あいにくの雨天で判りにくいが、温泉の湯気が立ち込めているのがうっすらと見える。

 

 

回天神社から別府湾を望む。

江戸時代、日出藩の一大港だったこの地。

高台のこの住吉神社境内に、当時灯台代わりに造られた石灯籠、常夜燈が現存している。

 

住吉神社と回天神社、それぞれを参拝して境内を下りる。

駐車場のあった訓練基地記念公園へと戻ってくる。

雨が止んで、少しだけ晴れ間が見えてきた。

最後にもう一度、ものものしい黒光りした回天を見て、

憂いを帯びた銅像をながめて、車に乗り込み、記念公園を後にする。

偶然だけど、戦争遺跡を続けて見た。

あの戦争の痕跡が、こんな近くに、こんなにも多くある。

ずっと昔のことだと思っていたが、そんなことはない。

とにかく、いろいろと考えさせられた。

 

さて、次は日出城址を目指す。

別府湾にたたずむ風光明媚な城址らしい。

楽しみだ。

ついでに、城下かれいも堪能したい。

こっちも楽しみだ。

 

銅像の青年の名前、"日の出"だった!

日出町だから?

 

森口博子 ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~ (1991)

森口博子が歌う、機動戦士ガンダムF91の主題歌。

ガンダムの歴代楽曲のなかでもトップ争いするくらい好きな曲。

アイドルだけど当時なんとも思わなかったのだが、こうやって見るとなかなかかわいい。

というか早く結婚しようや、命の母とか更年期のCMやってる場合じゃねえ!

井森美幸もな!

 



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