秋に繊細な草姿に鮮やかな実をまとう草花、ジュズサンゴ“Rivina humilis”。
枝先に咲く小さい花が終わると、そこに光沢のある赤い小さな実を鈴なりに付け、
その姿があたかも珊瑚色の数珠のように見えることから、こう名付けられた。
ジュズサンゴ
ヤマゴボウ科の多年草。
“ヤマゴボウ”という名前にピンと来る人が多いかもしれない。
小学校で理科の実験(染色の実験だったっけ?)に使った、紺色のあのブドウ!
服にシミが付いたらとれなくなる、あの食べられないブドウ!
ジュズサンゴはあの実験に使われる、ヨウシュヤマゴボウの近縁種。
ジュズサンゴ ピンク色の実。
朱色がスタンダードだが、真紅からオレンジ、ピンクに紫がかったものまで、
赤系統の色を中心に実の色にはバリエーションがある。
ジュズサンゴ
奥に無数のつぼみが見られる。
夏から秋にかけて枝の先端部分に白く小さな花を咲かせ、
夏の終わりから秋にかけて赤い実を鈴なりに付ける。
花はほとんど鑑賞されないため、赤い実をたわわに実らせた状態のものが店に並ぶ。
といっても、ひとつの株でわりと長く開花~結実を繰り返すので、
きちんと花も鑑賞することができる。
ジュズサンゴの花。
小さく可憐な花を咲かせる。
花びらのように見えるのは萼(がく)。
じつはジュズサンゴの花には花びらが無い。
実は完熟したのち、やがてしわしわになって自然に落下するので、
鉢を室内に置いておくと、そこらじゅうに散らばってしまう。
自然落下した実はそのままこぼれ種となり、翌年、芽吹くことも。
だがジュズサンゴを増やすには、挿し芽が手軽で一般的。
原産地では雑草で、病害虫の被害も少なく、育てるのが簡単な強健な植物。
冬に地上部を枯らさずに越冬できれば、大きく育ち、木のようになる。
しわの入った古い実。
こうやって見ると、ヒペリカムの実に見えないこともない。
赤く小さな実がたわわに実った姿が愛らしいことから、
単体で育てるよりも、寄せ植えの花材として重宝される。
個人的に草花とではなく、グリーンと合わせて寄せ植えするのが、
ジュズサンゴには合っていると思う。
もう見頃が過ぎたので、葉っぱばかりワサワサしている、
9月頃に自分が作った寄せ植え。
ジュズサンゴを中心に、ユーフォルビア・“ダイアモンド・フロスト”,千日紅,プテリス,アイビー。
ジュズサンゴの実はほとんどなくなり、あずき色していた千日紅の花の色も褪せ、
ユーフォルビアも先端の白い苞(ほう)がすっかり散ってしまい、本当に青々とした寄せ植えに。
このジュズサンゴが店頭に並びはじめたら夏が終わり。
そして秋が深まり、ジュズサンゴが姿を消し始めると、
今度は同じく赤い実を付ける、ピラカンサやナンテンが登場し秋が終わる。
さらにクリスマスホーリー,センリョウ,マンリョウが並ぶともう冬の到来だ。
クリスマスしかり正月しかり、赤い実はやっぱり冬の風物詩なんだなあ。
花と実のコラボ。
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