はぐれ雲

毎日世界のどこかや身の回りで起きることを自分のことばで書いていきます。かなり過激な場合もありますがいつも本音です。

街の灯

2020-08-16 05:53:58 | 日記
昨夜は受け持ちの「シェーグレン症候群」の患者さまが急変して
帰りが遅くなり終電もあわやという時間になり
間一髪で半蔵門線で帰ることができました。

ヒロシマのご出身でもしや被爆されたのではないかとお尋ねしたところ
(病気の誘因はそのあたりにあるんではないかと推察)
「そのころは幼くて尾道にいました。ええ、林芙美子さんで有名なところですよ。こんなきれいに晴れた空なのになんでこんなに急に真っ暗になるんだろう。
と思ったら大きなきのこ雲が出て。そらに広がって・・・・。」としっかりしたお声で話されておりました。それが三日前。

バルーンカテーテルを挿入したのですがもうほどんど尿が出ない状態です。
でも、話しかけに応答もされるしバイタルも落ち着いたので帰ってきました。
何度も体験していることなのに、患者さんの容態が悪くなるとわたしは耳まで赤くなり
全身汗びっしょりになります。手と体は機械的に動くのですが。
恥ずかしいです。本当に肝が据わらない。というか学生時代から同じ反応をしてしまうのです。

病院でシャワーを浴び、同僚と夜の街を歩いて駅へと向かいます。
まだ街は眠らない。終電からゆらゆら隅田川を眺めるとやっと落ち着きます

カリフォルニア・ドリームあの頃その頃

2020-08-15 09:15:59 | 日記
♪アザ ジス ア クラウン イン ザ スカイ イズ グレイ~
カリフォルニア・ドリーム。覚えたですよ、この歌。車の中で。
「ドアーズ」が好きですね。それに「ジャニスジョップリン」。とても懐かしいのです
エアロスミス。マライアキャリー、デイステニィーチャイルド、GLAY、シャディー
今昔和洋ちゃんぷるー。ですが最近は公私ともに演歌は遠くなりにけり。

団塊世代の歌手は当時より、格段に上手に深く表現できるようになっていますが
これは本当。「殺気」とも似ている「気」が入っている。
小林旭とか、かぐや姫、とかあがた森魚、加藤登紀子さんとかみんなそう。

人生は何か成し遂げるにはあまりにも短すぎる気がします。昔はこんなに早いとは感じなかったのに。
いつか必ず人間は死ぬ。みんな死ぬ。アンドロイドの体は欲しくはないけど、老いるのは嫌なもんですね。
ローリングストーンズの「マザース・リトル・ヘルパー」じゃないけど「老いるのは嫌だ!!」。生きる事は恥多く
みっともない。そんな事を感じながら銀河鉄道列車は終着駅に向かっているのかな。


塚本太郎大尉

2020-08-14 07:48:25 | 日記
回天(人間魚雷)を志願してフィリピン沖で散華した塚本太郎大尉(慶応大生)は
レコードに吹き込んだ肉声で語りかける。

「幼い頃みんなで陽が暮れるまで遊んで、あの崖の下で転んで泣いたのは誰でしょうね。こうやってみんなと愉快にいつまでも暮らしたい。喧嘩したり争ったりしても心の中ではいつでも手を握りあって。然しぼくはこんなにも幸福な家族の一員である前に,日本人であることを忘れてはならないと思うんだ。」さらに

「年長けし人々よ,我等なき後の守りに,大東亜の建設に,白髪を染め,齢を天に返して
健闘せられよ。又幼き者よ,我等の屍をふみ越え銃剣を閃かして進め。日章旗を翻して
前進せよ。それではみなさんさようなら。元気で征きます!」

遊就館でこの青年の心の葛藤を聴くことができました。
聞き取りメモなのでまったく正確といいうわけには行きませんが。
ご冥福をお祈りいたします。
塚本太郎大尉(以前は少尉だったが今回は広告塔にされて二階級特進か)

九段の坂をダラダラと上がっていくと真っ黒な大鳥居がたたずむ威容。
そこはあたりとはまるで異なる空気が漂い黒く暗く重く沈んだような雰囲気です。
お宮参りや七五三、初詣に行くそこらの神社仏閣などとは全くわけが違う
天皇のための日帝軍国主義の犠牲となり戦って死んだ兵士を祀ってある。
気のせいか参道を通ったとき晴れているのに昼下がりの暖かさはなかった。この感じは
いつか秩父のほうで見た風景、風が渡り見渡す限り全山の水子地蔵が無数に佇み
いっせいに赤い花が廻っていた風景。渺茫とした青空と風があるのかカラカラ回る風車。
花と見えたのは真っ赤な地蔵のかざくるまだったのだ。
こんな寂しい風景をみたのはおそらく生まれてだったろう。あの青はまさに死の色だった。

参道をさらに奥に進むと大きな「菊の御紋」の扉が。重苦しさに思わず立ち竦む。
道路を渡ると「皇族下乗」と大書してあるが皇族はいつ参るのだろうか。

海ゆかば 水漬くかばね 山行かば 草むすかばね
 大君の 辺にこそ死なめ 顧みはせじ (大伴家持)

最近、ふっつりと靖国には参らなくなった。戦争を美化しているのが鼻についてきたからだ。
気が付くのが遅すぎた感は否めないが。

髪の毛数本で隠せるという願いとその努力

2020-08-13 06:54:13 | 日記

これは。。。。永遠のテーマですね。

同僚にも♂二人いました。でも一年前からスッパリとね。坊主になりました。
こないだ、少し認知の入ってきた患者さんに 食後
「おいしくいただきました。おぼうさん」といきなり後ろから
頭をなでられて、なんか怒ってましたけど。

それで頭頂部を中心に河童の皿状態でつるつるなので、周囲の草刈りあととは
少し照りがちがう。
「オレ、周囲伸ばして今度ちょんまげ結ってくるかな。月代(さかやき)剃る必要ないもんな。」
と言ってたよ。なんか首塚の落ち武者じゃないか。やめなよ。
あたしが「かっぱかい。あんたの父ちゃん母ちゃんかっぱかい?」と言ったら

「ばかやろー、そんなわけないだろ。母ちゃんは人間で父ちゃんが河童だ!」
とさ。
あまり可笑しくて手足がまひまひしてしまって昼食が半分しか食べられんかった。

お洋服が大好きなおじいさん

2020-08-12 06:44:04 | 日記

患者さんなの。90歳。
夏でもジャンバーとかネルのシャツを着たがるの。
どうしてかというとねえ。
第二次大戦のとき船が撃沈されて台湾沖で三日三晩漂流したんだって。
おそろしくて。暗くて。寒くて。寒くて。
精神が侵されてしまったそうです。
うちの病棟には重度の糖尿で入院してらしたけど
真夏でも毛布や厚手のセーターを抱えて離してくれませんでした。
無理に取り上げようとするとそれはそれは怒られました。
パジャマより、お洋服が大好きでそれも精神的な苦痛からだとわかって
わたしもしゅんとなってしまいました。

思えば、徴兵された方の中には恐怖から毎年三万人は気が狂った人が出たとか。
戦死や負傷者数の統計は出るけど不思議とそれは取り上げられないということを
聞きました。精神病院は戦時中は常に収容しきれないほど満杯だったそうです。


それにしてもムシ暑いよね。