夏真っ盛りである。朝の5時前から蝉が激しく鳴くので目が覚めた。蝉は地中で長く暮らしてから地上に出て短い一生を終える。 短いというのはあくまでも人間のものさしで測っているからで蝉にとっては一生懸命生きた結果なのだ。私はすっかり軽くなった穴あき蝉を手のひらにのせて「生と死は同時進行なんだよな」と坊主のように呟いた。