山本周五郎の短編小説に「よじょう」というのがある
この作品は吉川英治によって剣聖とし描かれた宮本武蔵に対する痛烈な風刺がある
自らを売込もうと見栄っ張りで,しゃっこばった武蔵を敢えて言えば吉川英治への
怒りを込めた挑戦であると言われる 詳述は避けるが 好きな作品だ
話は一転する 野球の野村克也氏が監督時代「世の中に不思議な勝ち方はあるが
不思議な負け方はない負けるにはそれなりの理由があったはずだ」と語っている
(余談だが私は野村監督嫌いで氏が阪神タイガース監督時代 阪神ファンを自任して
いたのが その間 野球を一切見なかった~~) 閑話休題
『五輪書』は宮本武蔵が自らの生涯を通じ見出した「武士としてあるべき生き方」を
著した書物で 「地・水・火・風・空の5巻から成り立つ 勝つことに徹した生き方
型に捕われず、武具に執着せず、平常心を保ち、勝つ事のみに全てを集めた剣術思想
の集大成だという 「負ける」ことなど一切 、その思想にはなかったようだ
・世々の道をそむくことなし ・身に楽しみをたくまず
・恋慕の道思いよるこころなし ・我、事において後悔をせず
・神仏は貴し 仏神をたのまず ・常に兵法の道をはなれず
武蔵がこの世を去るにあたり 書き残した21か条の『独行道』の一部だ
最期まで 融通が利かず 自信に満ちた 己の道を突き進んだようではある
ここいら辺が山本周五郎のそして 周五郎ファンの私が 武蔵を、吉川英治を
好きになれない 所以である