退屈男の愚痴三昧

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「僧衣で運転は禁止」は違憲

2019年01月02日 18時38分52秒 | 日記
 この警察官の法律執行は憲法違反ですね。切符を切られたご本人様は正式裁判を請求した方が良いのではないでしょうか?
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 報道によれば「県の規則が『運転操作に支障がある衣服』での運転を禁じているため」だそうですが、地方自治体に委任されている罰則規定の制定権限は法律の枠を超えることは許されません。つまり、同種類の事柄について道路交通法が禁じていない行為を禁じることは許されません。また、仮に道路交通法が委任した枠内で禁止行為を定めたとしても道路交通法よりも重い刑罰を科すことは許されません。
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 いわゆる反則切符の制度は道路交通法違反事案において軽微なものについてまで正規の刑事手続に載せると刑事裁判手続がパンクしてしまうばかりでなく、日本人の多くが「罰金以上の刑に処せられたもの」になり、いわゆる前科者が多くなってしまうため道路交通法違反事案を正規の刑事手続から外すものとして考案されたものです。
 したがって、交通反則切符の制度も広い意味で刑事法の領域に属しますから刑事法の諸原則の縛りを受けます。つまり法(=道路交通法)より重い処分は許されません。
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 他方、「運転操作に支障がある衣服」という文言(モンゴン)はあまりにも漠然としています。
 そもそも、刑罰法令を構成する文字列には程度の差こそあれ一定の曖昧さは伴うものです。「わいせつ」の概念などはその典型ですね。
 しかし、それでも違憲だとされないのはその言葉が用いられることになる四囲の状況からその概念内容が明らかになるような運用がされるのでかろうじて合憲だと考えられています。
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 ところが、「運転操作に支障がある衣服」という文言には曖昧さを越えた漠然性があります。漠然とした刑罰法令は処罰対象行為が明確でないので無効です。
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 「運転操作に支障」が生じる衣服なぞいくらでもあります。例えば、厚手のコートを着ていれば運動機能は多少なりとも低下します。したがって、「運転操作に支障がある衣服」という文言は、刑罰法令の不明確性を禁じる日本国憲法31条に違反すると言ってよいでしょう。
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 さらに、報道によれば「県警交通指導課は『僧衣がすべて違反ではなく、状況による』と説明」したそうだが、この説明はさらに違憲の疑いを強めることになります。つまり、違反となる「状況」を一般市民は全く知らされてはいないからです。現場で取り締まりをする警察官が運転操作に支障がある「状況」だと判断すれば切符を切られることになるのでしょう。つまり、刑罰法令は現場警察官の頭の中にあるということにならざるを得ません。
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 当事者様は公安委員会に異議の申し立てするのもいいと思いますが公安委員会はあまり頼りにはなりませんから、一定期間内であれば正式裁判の請求ができるはずなので裁判の場で警察の不手際を明らかにした方が良いでしょうね。
 協力してくれる弁護士はいくらでもいると思います。
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浅学非才愚考卑見乱文長文多謝
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181228-OYT1T50118.html