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なるほど、そういうことかとようやく気づきました。
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日本人は試されているのですね。
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だれが試しているのか。それは法の神様だと思います。
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一部の海外報道が「強制や罰則を伴わない緊急事態宣言で感染を押さえられるのか疑問だ。」と報じたそうです。
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なるほど、そうなのでしょう。
そうした報道をする国々では外出を禁じ、違反者に刑事罰を科します。
そうでもしなければ不要不急の外出を止められないからでしょう。
しかし、それだから違反者が出て感染拡大が終息しないのだと思います。
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我々、法を学ぶものは物事を考え、判断するときいくつかの道具を用います。
その一つが合理的推論です。
法や法律になじみの無い人には不可解かもしれませんが、この合理的推論という道具はなかなか優れものです。
そもそも、裁判で有罪判決に至る際もこの合理的推論が使われます(「だから誤判が絶えないのだ。」という批判には別の機会にお答えします。)。
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その方法は、一つの事柄について複数の相互に独立した三つ以上の情報源にあたり、合理的かつ論理的に推論します。
欧米ではthinking like a lawyerという文字列で認識されているやり方です。
この合理的推論方法で愚考してみました。
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外出を禁じ、刑事罰で威嚇しても違反者が出て感染爆発が起こる。
これはつまり、窃盗を繰り返し、詐欺を繰り返す人が何度刑務所に入っても、出所後すぐ窃盗を行うのと似ています。
つまり、禁じられ、命じられた事柄の本質が分からず、ただ「言われたから従う。」、「捕まったのは間が悪かったからだ。」と刹那的に物事を考えるから愚行を繰り返すことになります。
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感染爆発が起き、「密閉、密集、密接」環境の感染確率が極めて高いことが科学的に報じられているにもかかわらず、この環境に身を置くものは犯罪を繰り返すものと心の認識状態は同じだと言ってよいでしょう。
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日本は緊急事態宣言とこれに伴う緊急事態措置に強制の契機を随伴させていません。
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これは世界史に残るほど壮大な試みだと感じています。
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日本人一人ひとりの自覚と自制により感染拡大を止めようとしている。
法律による強制はしない。
これが成功すれば日本人は地球上、最も崇高な国民だと自負してよいのではないか。
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これは日本人が持つ「お互い様」の心と「察し」と「思いやり」の文化に根差しているのだと思います。
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自粛により生じる様々な辛さはお互い様、「誰もが辛いのだろう」と察する心、「万一、自分が感染していれば他人様にうつす危険がある」と感じて自重する心。これらは非常に大きな力となるでしょう。これは悪しき忖度とは全く別物です。
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しかし、近時奨励されている「価値の多様性」が、ゆがんだ形で一部の人々に伝わり、「お互い様と察しと思いやり」の心が陳腐なものとみなされ自重心が薄れているのでしょうか。
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「法は国家が強制力をもって実現する価値」だと多くの法学者は教えられ、教えてきています。
しかし、法は必ずしも「強制力をもって実現する価値」だけではないと思います。
「実現すべき価値」は強制力を伴わずとも実現しなければなりません。
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「国家」は人の集まりとその調整機構であり、「法」(≠法律)は人々が、それほど長くはない生涯を安心して送ることができる「安定した環境」を支える共通意識だと愚輩は考えています。
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今回の緊急事態の終息は一つの「実現すべき価値」です。
しかし、国の強制力で実現可能なものではないと思います。
しかし、「強制力を伴わずとも実現しなければならない」価値です。
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これを今日本が実行しようとしていると思うと法的興奮を覚えます。
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これが成功すれば日本型法実現として世界に誇れるでしょう。
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人が集まることで利益を上げている商売が、「不要不急の外出自粛」で苦境に追い込まれています。悲しいことです。愚輩も、毎年この時期は、週に一度はどこかのお店に行って愉快な時を過ごしています。それができない。たいへん寂しいです。
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しかし、ここは一つ我慢するしかないのでしょう。
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日本人は試されているのですね。
すごい社会実験が進行しています。
是非、この実験を成功させたい。
そのためには、大変難しく辛いことですが、ただこもっているだけでいいのですね。
愚輩はこもります。
三つの密は避けます。
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浅学非才愚考卑見乱文長文多謝