退屈男の愚痴三昧

愚考卑見をさらしてまいります。
ご笑覧あれば大変有り難く存じます。

6年前の安保関連法について(回想)

2021年09月20日 19時40分14秒 | 日記
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 2015年、当時の安倍政府は集団的自衛権の行使を容認する法案を自公他の賛成多数で成立させました。
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 民主主義の原則は多数決です。
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 したがって、議会の多数を占める政党の賛成があれば法案は法律になります。
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 しかし、私ら法学者は妥当性を欠く法律を法とは考えません。
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 いわゆるjustice conceptに合致しないからです。
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 簡単な算数計算をしてみましょう。
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 この法案の全有権者に占める支持率について考えてみます。
 まさに真に多数決だったのか否かの確認ですね。
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 なぜならば、「不平を言うな。自分達が選挙で選んだ政権がしたことではないか。不平を言うなら選ばなければ良かったのだ。」という趣旨のご意見が聞こえてくるです。
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 まずは一般論でシミュレーションしてみましょう。
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 たとえば、ある選挙で投票率が80%、当選者の得票率が同じく80%であったと仮定しましょう。あり得ない数字ですが仮定です。
 このとき当選した人は全有権者の何%の支持を受けているかといえば、私の苦手な算数ですが、80%の80%ですから全有権者にしめる割合は64%です。
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 これは仮想選挙です。そこで、次に、現政府の基礎となっている2014年の衆議院選挙の結果を使って議員や法案の全有権者に占める支持率を計算してみましょう。
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 公開の数字では小選挙区選挙の最終投票率は52.66%です。
 選挙区によって異なると思いますが、たとえば山口4区で当選した安倍総理の支持率を計算すると投票率52.56%、得票率が76.3%ですから、最終投票率で単純計算すると山口4区の全有権者に占める支持率は約40.1%となります。過半数には達していません。
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 さて、さらに計算してみましょう。
 何を計算するかといえば、今度は法案の支持率です。
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 安倍総理より高い支持を得た当選者もいると思います。そこで、先ほど計算した仮想選挙の支持率64%と安倍総理の支持率40.1%の中間で過半数と同じ数字の51%という数字を用いてみましょう。これも政府に有利な数字を選択しています。
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 仮に、51%の支持率で当選した議員の全員が法案に賛成したとしてもその法案の全有権者に占める支持率は51%を超えません。
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 では、仮想数字はこれで終わりとして、今回の安保法案について計算してみましょう。
 衆議院では起立採決でしたから具体的な数字を出す資料がありません。
 しかし、公開された数字を基礎にすれば自公の議席数は326。起立採決で二名が病欠でしたから法案に賛成した議員の数を324としましょう。全議席475に占める割合は68%です。
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 上記の議員支持率51%と法案の支持率68%から、この法案の衆議院における対全有権者支持率を計算すると34.86という数字が出てきます。
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 衆議院で自公の賛成多数で可決したと与党関係者は自負したようですが実際の法案支持率は最大でも34.86%にとどまっています。
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 ちなみに、良識の府と呼ばれる参議院についても計算してみましょうか。
 衆議院に対して参議院では記名投票でしたから賛成票の数ははっきりしています。
 賛成票は自公他148。したがって、全議席数242にしめる賛成票の割合は約61%です。
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 ところで、参議院は半数改選制で、しかも自公に合流した3党の内1党は改選時当選者0。残る2党は2013年の参院選後に結成された党なので得票数を確定できません。
 そこで、確認できる自公の得票数を元に参院選の得票率の計算から始めます。
 公開された自民党の得票率は34.68%、公明党の得票率は14.22%です。
 両党を合計した得票率は算数計算ですから48.9%です。
 改選対象でない参議院議員の実質支持率の検討は割愛しましょう。ここでは概算で計算していますから(とはいえ、与党には有利に繰り上げています。)。
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 では、今回の参院での全有権者にしめる実質支持率を計算しましょう。
 自公の得票率48.9%、参院で賛成票の割合は約61%ですから29.8という数字が出てきました。これが、本法案に対する参議院における全有権者にしめる実質支持率です。
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 以上をまとめると、この法案は、山口4区の全有権者の約40.1%の支持を得て衆議院議員となった総理の政府がこれを支持し、衆議院では全有権者にしめる支持率34.86%、同じく参議院では29.8%で成立したことになります。
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 この数字をどう見るかは自由ですが卑見では、いわゆる民主主義の命とされる多数決原理が貫徹されているとは考えにくいと愚考しております。
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 しかもこの数字には、この法律を実質的に背負って行くことになる20歳未満の人の数は含まれていません。
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 つまり、20歳未満の人達は自分達が立法過程に関与できなかった法律に今後拘束され続けるという運命を背負わされたということです。
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 この結果は、いわば代表民主制の宿命ではありますが、多数決原理とは相容れない統治の仕組みであることが分かります。
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 そうであるからこそ、この不幸な結果を避けるために憲法という政府を縛る仕組みがあるのですね。
 憲法を無視してはいけないのです。(未完)
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