退屈男の愚痴三昧

愚考卑見をさらしてまいります。
ご笑覧あれば大変有り難く存じます。

「みんな仲良くしましょう。」はいじめの原因!?(2)

2019年09月02日 23時46分01秒 | 日記
 それでは、先生の発言が間接的にイジメの遠い原因になる理由のご説明を始めましょう。

 A君は自分が使うために消しゴムを準備してきました。

 これに対して、Bさんは先生の事前指導に反して消しゴムを準備していませんでした。

 本来ならばBさんは自分の準備不足から生じた事態なのでその不便さや不利益を甘受すべきであるはずです。

 しかし、Bさんはこの不便さや不利益をA君に転嫁するために先生にアピールしBさん自らは不当な利益をえることになりました。

 この説明がお分かりいただけますでしょうか。

 Bさんは消しゴムの事前準備義務に違反したにもかかわらず消しゴムを使う利益を得ています。

 しかもその利益はA君の「一時的とはいえ消しゴムを使えない不利益」に乗ったものです。

 ここで「乗る」という表現をしましたが、欧米の哲学書、なかんずく正義論に関する哲学書ではBさんの行為を「free ride(フリーライド)」(「タダ乗り」)だとして、「許されない行為」だと評価しています。

 それにもかかわらず、先生はA君に不当な我慢を強いたわけです。

 この「不当な我慢を強いられた」というA君の状態は他の児童や生徒に素朴ながら微妙な心理的影響を与えることになります。

 それは、「A君は多少無理なお願いでも受け入れてくれるかもしれない」というものです。

 ここでは過去の実際にあった事実を抽象化して描写していますが、皆さまが生きる現実の外界にも、程度の差こそあれ、このような事があるのではないでしょうか。

 「A君は我慢強い子だ」

 「A君の行動は先生に否定された」
 
 「A君にならば消しゴムを借りてもいいんだ」

 こうしたA君に対する(A君にとっては負担となる)評価が、「不当な利益」を得られることを知った人の間で一気に広がるのです。

 その後しばらくして、A君にCさんが消しゴムを借りに来ます。

 A君はBさんの件がありましたからCさんの申出を拒否できません。

 しかし、Bさんに貸した消しゴムを返してもらっていない時点でCさんの申出があるとA君には貸す消しゴムがありません。

 このときA君が採りうる手段には複数のものがありますがその選択の余地は限られています。

 ここはA君の将来にとって大変難しい選択となり、岐路ともなります。

 A君が毅然として、「Bさんが使っているから貸してあげられない。」と答えることができればいいのですが、そうでないとCさんは消しゴムを借りられないことに不満を抱き「Bさんには貸しても自分には貸してくれないんだ。」と居直ります。

 A君にはすでに先生という「権威者」から「貸してあげなさい」という指示を受けているので貸さないという選択肢は絶対にありません。

 A君は大変厳しい状況に立たされてしまいました。

(つづく)



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