きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ユル・ブリンナー先生

2018年09月18日 | 喫煙防止教育
喫煙防止教室では、パワーポイントを使って授業をしています。

本物の肺や心臓などの画像を見せることで、なるべく子どもたちの記憶に残るように、という思いからです。

校長先生や養護の先生などから、「先生がお持ちの画像は本物ですから、説得力があります」とお褒めいただきます。


けれど、いまや、ネットで誰でもそういう画像は目にすることができます。
医者でないと手に入れることができない、というわけではありません。

それに、昔から保健室にはタバコを吸っていた人の真っ黒に汚れた肺の写真のポスターは貼られていました。

そのような真っ黒な肺の写真を見せると、みんな「うえーっ!!」と一様に驚いてくれるのですが、実はみんな一度は見たことがあるはずなのです。



でも、普段は病院で働いている医者が見せる、というところに、実は大きな意味があるのではないかと思っています。

もちろん、ただ写真を見せるだけではありません。

肺が真っ黒でボロボロになってしまうと、人間はどんなふうになってしまうのか?

私たち医療者はそれを間近で見て知っています。

そして、このような病気は決して完治できないため、日々、心を痛めてもいます。

その心の痛みも一緒に、子どもたちに教えるのです。

学校の先生ではなく、医療者がわざわざ学校へ出かけていって行う授業の重さが、そこにあると思います。



実は、患者さんやそのご家族にご協力いただけないかと考えたりもします。

がんを経験した有名人のなかには、がん検診普及活動をしてくださっている方も何人かいらっしゃいますが、タバコのこととなると・・・

今の日本ではなかなか実現は難しい気がします。


海外では、患者さん自身がもっと子どもたちに直接的に語りかけてくれています。

その先駆者ともいえるのが、映画「王様と私」で有名な俳優ユル・ブリンナー氏です。





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