1か月おきにフリーペーパーに医療コラムを書いています。
「TonTon」
http://www.sakata-net.com/tonton/
https://www.facebook.com/tonton.sakata/
毎月1日に発行され、宇都宮市内に配布されています。
7月は私の担当でした。
若い方のなかには、新型コロナウィルスのワクチンを受けることに不安がある方が少なくないようなので、今月号はワクチンのことを話題にしました。
けれども、字数制限内で語れることは限られていますし、ワクチンについてはすでに色々な媒体で様々な情報が発信されています。
なので、推敲に推敲を重ねた結果、最終的にはこんな感じになりました。
以下、一部を転記します。
「(前記略)医療従事者である私は、皆様よりも一足先に新型コロナウィルスのワクチン接種を済ませました。ワクチンは今まさに世界平和のために必要不可欠なことです。昨今は様々な情報があふれすぎています。人は情報が多すぎると、心に迷いが生じ、決定を先延ばしにしたり、考えることをやめてしまったりする傾向があります。ワクチン接種をすべきかどうか判断に迷っている、不安だ、という方もきっといらっしゃるでしょう。でも、保健の専門家達が率先してやっていることですので、どうぞ安心してくださいね。(以下略)」
私は本当に心からそう思っているので、こんなふうに書いたのですが、その後、同じような言い方の新聞広告やテレビコマーシャルを目にしたので、おや?!と思いました。
宣伝文句はズバリ、「わたしも打ちました!」です。
新聞広告がこちら。
コロナ禍で活躍している感染症専門の高名な医師の方々が、笑顔で出演され、最後に「わたしも打ちました」と笑顔で決め台詞を言うのです。
テレビコマーシャルがこちら。
つまりこれは、広告のプロも使うところの正当戦略のひとつだったのですね。
わたしってすごい(笑)
けれども、ところ変われば方法もずいぶんと変わります。
聞くところによると、人々にワクチン接種を広く推進するために、アメリカではまったく違う戦略がとられました。
ワクチンを打つと、スーパーマーケットの割引券がもらえたり、ジムや商業施設などの使用料が安くなったり、はたまた、高額な宝くじの抽選券がもらえたりするというのです。
実際、これまでどちらかというとワクチン否定派だった米国在住の友人が、「ワクチンパスポート」に惹かれ、ついに接種を受けました。
2回目の接種翌日、解熱剤のお世話になったそうですが、おかげで今は久しぶりの旅行休暇を楽しんでいるようです。
国民の半数以上の人が接種をすませると、感染者数や重症者数が減少し、行動制限が緩和され、人々の心の持ちようがずいぶんと軽くなっているようです。
とはいえ、サッカーユーロ大会の観客がほとんどマスクをしていないのは衝撃的な光景です・・・戦慄を覚えます。
とにかく、日本ではワクチン接種の開始が遅れたぶん、みなが安心して旅行したり集ったりするには、もうしばらく時間が必要です。
実際、職員全員の接種をすませた職場においては、私達医療者の感染対策行動は接種前となんら変わりなく、お昼も密にならないようにしながら、無言で食べています。
完全無観客開催したとしても、オリンピック・パラリンピックの影響は公衆衛生上、決して無視できません。
でも、パンデミックは必ず終息します。
ですから、明るい気持ちで、これからも引き続き、習慣となった清潔行動をやっていきましょう。