きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

Tobacco breaks Hearts

2018年06月02日 | 喫煙防止教育
喫煙防止教室は、小学校低学年からが望ましいと思い、取り組んでいます。

ある日、こんなことがありました。

小学4年生のクラス。

女の子の双子ちゃんがいたのですが、授業の途中からその双子ちゃんたちが泣き出してしまうというハプニングに見舞われました。


「こわいよー!おかあさんが死んじゃうよー(泣)」
「どうしてタバコなんか吸うの~?!」
「ニコチンのせいなの~?!」
「いまやめれば、じゅみょうはもどる?」


子どもたちは授業を通して「タバコの本当の話」を知ります。
すると、吸っているお父さんやお母さんたちのこと、あるいは受動喫煙してしまっている自分たちの健康のことが心配になって、授業中に泣きだしてしまう子がたまにいます。

今回はしかも双子ちゃん。
いきなりダブルで泣かれ、更にそれにつられて泣き出す女の子も。
かたや男の子たちはといえば、半ば呆れ顔で「授業中に泣くなよー」と。

教室は騒然となり、大変なことになりました。


さて、どうにか授業を終えた後、子どもたちのフォローをするために、しばらく教室に残っていたところ、「お父さんは小さいときに死んじゃったから」「お母さんだけなんだよね」と、クラスメートたちが双子ちゃんたちの家庭の事情を教えてくれました。


以前にも授業中、やけに熱心に質問をしてくる子がいるなあと思ったら、後になってその子の家庭もシングルペアレントで、しかもタバコを吸っているのだということを養護の先生から教えてもらい、なるほどと思ったことがありました。


子どもにしてみれば、親の健康はまさに死活問題です。



WHOが掲げた2018年の世界禁煙週間スローガンは「Tobacco breaks hearts」。

これはもちろん「タバコは心血管系疾患のリスクを高める」という意味ですが、子どもたちの「心」も同時に傷つけてしまっているのだということを、ぜひ知っていただきたいです。

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