5月3日(木)/
「枕草子」にある「五月ばかり、山里歩く、いみじく、おかし」の言葉通り。この時期、自然を残す近所のどの辺りを散歩しても楽しみが多い。
その楽しみの一つに、ふと見掛ける素朴な味わいをもった野に咲く花がある。
華麗な花が多い園芸種とは異なり、自然にはぐくまれて人知れずひっそりと咲く野の花は華美とは縁遠いが、その慎ましい素朴な姿は見る人の心を惹きつける。
そんな花の一つに「ハルジオン」がある。春の野や道端を控え目に飾る野草だが、「春紫苑」とも書くようにこれがまとまって一斉に咲けばなかなかに美しい。(なお、「ハルジオン」と見分けが難しいほとよく似た「ヒメジョオン」(姫女苑)というのもある。)
池地区を流れる小川のほとりにその大きな群落を見付けた。すばらしい春の賑わい!
道端や野原に咲く花でなく、緑を濃淡染め分けた樹木にも花をつける樹がある。
我が家からごく近くの空地の中央には枝一杯を伸ばした姿のいい大樹があり、現在ただいま白い大きな上向きの花をいっぱい咲かせている。
かねてからこの見応えのある樹の名前を知りたいと思っていたが、その名を知る人に出会うことはなく、ずーっと気にかかっていた。
そこで、この際、人から教えられるのではなく自力でなんとか調べることができないか、思い立った。
所有している分厚い「樹木図鑑」に掲載されていないことはすでに分かっていたので、ネットで徹底的に調べることにしたのである。
だが、ネットにあるいろいろな「植物図鑑」の類を調べてみたが容易に見つからない。そこでいろいろなキーワードを使って検索した結果、ようやくにしてこの樹の名前を探り当てることに成功した。
名前を「 ヒトツバタゴ」(一つ葉田子)という。別名「なんじゃもんじゃの木」とあるようになかなかに珍しい樹であるらしい。
天然での自生分布域が狭く限られているというが、伊豆高原一帯ではかなり沢山見掛けることができる樹である。
環境省のレッドリストで「絶滅危惧類」に登録されているとか。
学名はモクセイ科ヒトツバタゴ属「Chionanthus retusus」。ギリシャ語のChionan=雪、anthos=花 とあるように全体に雪が降り積もったようにみえる見事な樹である。
長年知りたがっていた名前をようやく見つけ嬉しい。 ちょっとした成功体験である。
名前だけは聞き覚えが有りますがこれで名前と木が一致しました。有り難うございます。