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理研雇い止め裁判

2024年12月31日 13時04分51秒 | 一言

研究者の「使い捨て」を許すな

 労働者の「使い捨て」を招きかねない極めて有害な判決です。

 理化学研究所(理研)の任期付き研究者の雇い止め問題で、雇用は継続したものの研究員に降格となった研究チームリーダーが降格撤回を求めていた裁判で、さいたま地裁は20日、訴えを却下する不当判決をだしました。原告は判決に抗議し、控訴しました。

 2012年の労働契約法の改正で、有期労働契約が更新され通算5年を超えた時に無期雇用に転換する「無期転換ルール」が定められました。研究者は特例で10年に延長されました。

■無期転換逃れで

 理研はこの適用を逃れようと23年3月末での大量雇い止めを通告。42の研究チームが解散させられ、380人が雇い止めとなる危機に直面しました。

 チームリーダーだった原告は理研労働組合に加入し、22年7月に雇い止め撤回を求めて提訴しました。敗訴を恐れた理研側は、「理事長特例」などで原告を含めて196人の雇用を継続させました。しかし、原告は研究員に降格となり研究に支障が出るため、降格撤回を求め再提訴しました。

 判決は、「研究チームは消滅しており、これを前提とするチームリーダーの地位は現在存在しない」という理研側の主張をうのみにし、裁判の対象にならないと門前払いしました。しかし、研究チームが消滅したのは原告がリーダーでなくなったためで、事実関係をあべこべにしています。

 無期転換との関係で極めて有害なのは、労働契約更新の期待の合理性がないとした理由です。原告は12年から有期労働契約を10回更新し、11年間チームリーダーとして研究を続けてきました。判決は、契約更新の期待がありうるとしながら、募集案内に「任期は原則5年」「最長10年」と明記されていたことをもって期待の合理性がないとしました。

■国会答弁に反し

 これでは募集案内に雇用上限がある場合は、契約更新を繰り返して法的な「期待権」が発生しても雇い止めできることになります。

 厚生労働省は「無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくない」と国会で繰り返し答弁しています。判決はこの答弁を踏みにじっています。

 大学や公的研究機関では、雇用上限を設けて、無期転換権が発生する前に雇い止めする事例が相次いでいます。日本神経科学学会などが行ったアンケート(2465人回答)では、約6割が労働契約法の改正によって悪影響を受けたと回答し、44%がそのために雇い止めとなる人が「いる」と回答。アンケートのまとめは「雇い止めが、我が国の研究力の低下をもたらしている」と指摘しています。

 自由記述には、優秀な研究者が雇い止めになりながら泣き寝入りしている実態が記されています。そうしたなかで原告が裁判に訴え、多数の雇用を守り、問題を可視化したことの意義は極めて大きいと言えます。

 問われているのは政府です。大学や公的研究機関が無期転換を拒むのは、政府が人件費を含む基盤的経費を削減しているからです。基盤的経費を増やし、無期転換を促すべきです。


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