支部に政党助成金
交通費に243万円支出
2022年7月の銃撃事件で死去した安倍晋三元首相の自民党支部と関連政治団体「東京政経研究会」が23年1月、元首相の資金管理団体だった「晋和会」に計約7700万円を移していたことが3日、同年分の政治資金収支報告書で分かりました。元首相の死後、晋和会の代表には妻の安倍昭恵氏が就任。安倍元首相のときには、税金が原資の政党助成金が交付されていました。事実上、同助成金も含めて資金移転された形です。(丹田智之)
自民党山口県第4選挙区支部は元首相の死後に昭恵氏が代表を引き継ぎ、23年1月31日に解散しました。収支報告書によると、同支部は解散日に晋和会へ残金2703万5087円を「寄付」していました。
上限額を移す
22年7月から解散日までに同支部から晋和会への資金移転(5回)の総額は、計1億6434万8302円にのぼります。同支部は22年だけでも計700万円の政党助成金を受け取っています。
元首相の関連団体だった東京政経研究会は、23年1月16日付で晋和会に5000万円を寄付。22年7月27日にも同額を寄付した記載があり、晋和会に計1億円を移しています。
政治資金規正法は政治団体間の寄付の上限を年間5000万円と定めています。同研究会は2年連続で上限額を移したことになります。今年1月の時点で同研究会には、1714万90円が残っています。
晋和会は23年、大手旅行会社などに22回分で計243万8300円を支払っています。支出の名目は、いずれも「交通費」で、行き先は記されていません。
昭恵氏のX(旧ツイッター)を見ると、23年は選挙応援のほかに国内外を旅行した際の投稿がありました。
同年4~5月に岡山市内で開催された博覧会を見学し、茨城県下妻市の神社で神事に参列。6月は島根県出雲市での結婚式に出席し、和歌山県みなべ町で梅農家を手伝いました。元首相の地元だった山口県での墓参の様子なども投稿していました。
海外では、韓国・済州島(7月)、台湾(同月)、ポーランド(9月)などを訪ねました。ただ、これらに政治資金が使われたかどうかは不明です。
政治資金は非課税のため、政党支部と政治団体から別の政治団体に資金を移した場合は贈与税や相続税が課されません。
今も続く支出
現在、晋和会の所在地は衆院第1議員会館にあった事務所から元首相と暮らした住居に変更されています。元首相が残した政治資金を私人の昭恵氏が無税で引き継ぎ、行き先が分からない交通費の支出を続けています。
本紙は晋和会に電話で問い合わせましたが、すでに解約されていました。東京政経研究会の電話番号は、山口県下関市にある自民党の吉田真次衆院議員の事務所と同じですが「担当者が不在のため、詳しいことは分からない」としています。
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