日本は水の国です。その豊かな恵みは、国のかたちや文化をつくり、生命をはぐくんできました。
国交省の資料によると、水道の水をそのまま飲める国は世界にわずか11カ国。いつでも安心して飲める水は私たちのくらしを支えてきました。もし、そこに健康被害をもたらすものが入っていたら…。底知れぬ不安と深刻な影響。それがPFAS問題です。
先週、水道水の全国調査が公表されました。国が目安とするPFASの暫定目標値をこえる例は直近ではないものの、過去には上回る検出が14の水道事業でありました。しかも汚染源は特定されずに。
水をはじく、焦げつかない、油がにじまない。幅広い製品で使われてきた有機フッ素化合物のPFAS。壊れにくい性質で永遠に消えない化学物質といわれます。しかし初めて商業化した米国では早くから危険性が指摘され、WHO(世界保健機関)も昨年その一部に発がん性があると認めました。
対策や規制が強化されている欧米に比べ、検査・報告の法的義務もない日本は大きく立ち遅れています。各地の住民や自治体の調査で、高濃度のPFASが米軍基地や工場などの周辺で検出されているのに手をこまねいています。
石破首相はこの問題について水道事業者への検査・公表の義務付けなどの対策を、来春をめどに取りまとめる考えを国会で示しました。遅きに失したとはいえ住民らの運動が政府を動かしています。国も自治体も企業も責任をとらない。大切な水を守るのは自分たちだと。
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