昨今の「NHKスペシャル」には、ジャーナリズムの灯を絶やさない、との気概が感じられます。先日のNHKスペシャル「“冤(えん)罪”の深層~警視庁公安部・内部音声の衝撃~」はその一つ。
「軍事転用可能な機器を不正輸出」したと疑い捜査した公安部による、えん罪の背景を取材した第3弾です。番組が入手した公安部内の会議の「音声記録」は、「独自の法令解釈で事件化を推し進める幹部らと、戸惑い抗(あらが)う部下たちの生々しい肉声」が手に取るようわかる中身でした。継続は力なり。
昨年の「未解決事件ファイル10 下山事件」は、1949年に起きた下山定則国鉄総裁の、れき死の真相に迫りました。番組は「アメリカが反共工作を推し進める中で起きた下山事件。…およそ1年後に始まる朝鮮戦争。国鉄は直後から軍事物資や兵士の輸送などに協力した」と解説。まさに「反共は戦争前夜の声」をほうふつとさせる事態でした。
「ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像」も力作でした。取材を拒みつづけた「ジャニーズ事務所と深い関係」の元NHK理事を“アポなし”取材。退職後、ジャニーズ事務所幹部になり、現在も同新会社に所属する若泉久朗氏の責任を追及しました。
NHKは昨年10月、新会社所属タレントの新規起用を再開する方針を発表しましたが、検証は不十分で問題は終わっていません。
権力という巨大な力はどこでもうごめいています。受信料で運営する公共放送として権力監視の役割を果たしてほしい。
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