『ゼロ・グラビティ』
"Gravity"
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン、ホナス・キュアロン
2013年・英米
・歯が全部、虫歯になる。
・戦争で捕虜になって拷問される。
・繁盛店に1時間並んでいて、ちょうど自分の番で品切れになる。
・ゾンビに襲われる。
・校舎の裏でヤンキーに絡まれる。
・ソンビから逃げる途中、ヤンキーに絡まれる。
自分のなかで、恐怖を感じるものを挙げてみた。
全部、怖い。
イヤだ、ゾッとする。
だが、この映画の状況よりも、つまり、宇宙に一人で取り残されるよりも怖いことが他にあるだろうか。
我々が内面に抱える恐怖の基準を、無理やりアップグレードされる。
これはそんな映画だ。
友だちにエンガチョされたくらいで世界中の孤独を一身に背負ってしまう『多崎つくる』などは、
本作の主人公、ライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)の爪の垢を煎じて飲んだほうがよいだろう。
孤独だ。
宇宙では、人は孤独すぎる。
そんな真空の世界を照らす、唯一の灯があるとすれば。
それは、ミッション・コマンダーのコワルスキー中尉(ジョージ・クルーニー)をおいて他にない。
(字幕は中尉だった。ちなみにLieutenantは海軍だと大尉)
主人公ライアンを”二度”助けるコワルスキー。
このコワルスキーの八面六臂の活躍を、ためしに欧州サッカー風に採点してみようじゃないか(↓)
+++寸評(背番号8:コワルスキー、守備的MF)+++
ゲーム序盤には不振を極めるエース・ストライカー、ライアン・ストーンを助ける、自己犠牲心溢れるラストパスで、華麗な得点を演出。
自身は前半40分に負傷交代も、
後半、相手チームにドローに持ち込まれ意気消沈するエースに”ベンチからのコーチング”で再びアシスト。
土壇場での勝利へ導く。
採点はこのゲーム唯一の「1」(1が最高、6が最低) 、そして満場一致でMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)。
彼は試合に勝つとはどういうことか、 ライアンに、そして私たちに伝えようとし、その任務に成功した。
++++++
・・・こんな感じの活躍。
(子猫ちゃんのために解説すると、向こうのスポーツ誌ってこれくらい文学的なの、試合の寸評が)
ぎゃーーッ!
その、いちいち「ガコン!」ってドアが開くのヤメレ!
ちょっと手が滑っただけで、宇宙の藻くずなんだからぁ・・・。
本作には複雑なストーリー展開もなければ、多彩な俳優陣も居ない。
いわば、1億ドルかけて作った「二人芝居」。
(ヒューストンのミッション・コントロールはエド・ハリス!だけど「声」のみ出演)
そして、後も引かないところが凄い。
観たら、いい意味ですぐ忘れられる。
ただ、息を呑み、手に汗を握る。
この後に続く映画にとって、一つの基準点になる。
それくらいの作品。
■おまけ
サンドラ・ブロックといえば、2011年の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』あたりでも、
いいッ!まだまだいける!
などと、一人で騒いでいましたが・・・。(完全に余計なお世話ですね)
本作では迫力の太ももを惜しげもなく披露。
こんだけ肉感的なのに全くやらしくならないのは、どういった魔法か・・・。
この役はサンドラ・ブロック以外、考えられない。
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