
『A面で恋をして』と言えばナイアガラ・トライアングルの1981年リリースの名曲。
近年では、原田知世のカヴァーも素晴らしかった。
(当サイトでは、原田知世ヴァージョンは、堂々の2020年のカヴァーソング・オブ・ザ・イヤーでした)
レコードのA面で恋しちゃうとしたら、アルバム前半の少なくとも 5~6曲 くらいは聞いた上で好きになってるわけでしょ。
しかし、小生の場合A面どころかAメロの10数秒で恋しちゃう、なんて事がしばしばあります。
Hurray For Tuesday の "Through The Rain" との出会いは、まさにそんな感じでした。
Aメロが素敵で。
先に断っておきますが、冒頭で話した大瀧詠一さんの音楽とは似ても似つかぬギターポップなのでご容赦を・・・。
Hurray For Tuesday は、英国マンチェスターの 5人組バンド。
イカしたバンド名は「火曜日、万歳!」とでも訳しましょうか。
この名前は、バンドのキーボード奏者ショーン・スコットの自宅のレコード棚で見つかったアルバムに由来するとの事。
音楽性の一致から見ても、そのアルバムとは、間違いなく The Minders の "Hooray for Tuesday" (1998年リリース)でしょう。
(Hurray も Hooray も、万歳!とか、ヤッホイ!とか、それいけ!とか言う意味で、スペルはどちらも正解。「フレー、フレー、紅組!」のアレです。)
なぜ、ショーン君の自宅にあったCDを小生がすぐに言い当てられたかと言うと、このアルバムは私の若者時代を通じたサウンドトラックだったからです。
そう、私は半生を通じて地味な男でした。
Through the Rain
英国では The Smiths 以降、米国では REM 以降、歌詞のハッキリ聞き取れないバンドが増えましたが。
私の青春時代の英米バンドの歌詞の聞き取りづらさったら、もうこんなもんじゃなかったのです。
その伝統も正しく受け継いでる彼ら。
特に、小生の好きなAメロにおいて、歌詞がハッキリ聞こえません(笑)
そこも儚いんですよね。
そして、切ない気持ちを胸に残したまま、僅か1分50秒で目の前を過ぎ去っていきます。
通り雨のように・・・。
地元マンチェスターでのライブも、他バンドの前座が多かった彼ら。
数々のバンドの前座を経て・・・。
(前座なんで、もちろんポスターにはバンド名が小さくプリントされているのみ)
ようやく掴んだ、チャンス。
20年3月、The Deaf Institute(マンチェスター・メトロポリタン・ユニバーシティの斜め向かいにあるクラブ/ライブハウス)でのヘッドライナー・ギグ。
バンド自身もとっても楽しみにしていたこのライブが、コロナで延期になったのは気の毒な事でした。
思い返せば、世界がもっとも Covid-19 というものに戸惑っていた時期でもありました。
その後、マンチェスターの5人の若者はメジャーへの階段を駆け上がる事なく、昨年7月に最後のシングルをリリースし、3年間の活動に終止符を打ちました。
小生は "Rain" という単語がつく曲を好きになることが多いのですが。
彼らもこの単語が好きなのか、2021年にリリースしたシングルでも、タイトルは雨がらみ。
曲名は "Rain's Gonna Fall Where We Walk"。
この曲のアコースティック・ヴァージョンが素晴らしいので、ここにリンクしておきます。
Rain's Gonna Fall Where We Walk (Acoustic Version)
公式ポストであるにも関わらず、2年前の youtube 投稿後、全世界でわずか6回しか視聴されていませんが(涙)
美しいアレンジです。
「僕らが歩く場所に雨が降る」。
地元がマンチェスターなので、まあ、雨は慣れっこなんだと思います。
<熱帯雨林>